個人番号利用事務実施者と個人番号関係事務実施者。その業務の違い。

マイナンバー(個人番号)を含んでいる特定個人情報というのは、いったいどんな人たちに利用されていくのでしょうか?実は個人番号利用事務実施者と個人番号関係事務実施者なのです。この2者の違いについて説明していきます。

特定個人情報保護委員会のQ&Aによると?

Q2-9 番号法に規定されている「個人番号利用事務実施者」や「個人番号関係事務実施者」とは何ですか?
A2-9 「個人番号利用事務実施者」とは、マイナンバー(個人番号)を使って、番号法別表第一や条例で定める行政事務を処理する国の行政機関、地方公共団体、独立行政法人などのことです。また、「個人番号関係事務実施者」とは、法令や条例に基づき、個人番号利用事務実施者にマイナンバーを記載した書面の提出などを行う者のことです。
 例えば、税の関係であれば、国税庁長官(税務署)、都道府県知事や市町村長(税務担当)が個人番号利用事務実施者となり、これらの機関にマイナンバーを記載した源泉徴収票や支払調書などを提出する民間事業者などが個人番号関係事務実施者となります。
簡潔に言うと、国の機関が個人番号利用事務実施者、民間事業者等が個人番号関係事務実施者なのですね。
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個人番号利用事務実施者をさらに細かく説明

個人番号利用事務実施者

主に税務署・年金事務所・健康保険組合・ハローワークなど
※個人番号利用事務の実施について、その全部、または一部を行政機関から委託を受けた企業も個人番号利用事務実施者に該当するので、個人番号利用事務実施者は行政機関のみに限りません。地方公共団体の長、その他の執行機関は、社会保障・地方税・防災に類する事務であれば、マイナンバーを利用することができます。この場合の地方公共団体の執行機関も個人番号利用事務実施者になります。

上記記事によると、行政機関経由の委託だと民間でも個人番号利用事務実施者に当てはまるのですね。

この点がよく知られていないため、勘違いしている人が多いのかもしれません。

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個人番号関係事務実施者をさらに細かく説明

個人番号関係事務実施者とは、マイナンバーを行政機関が業務利用する為に、補助的に扱う立場の場合該当しますが、具体的には、企業の総務人事などの部署がこれに該当します。社員の所得税の源泉徴収、住民税の特別徴収、社会保険料の支払等には、社員のマイナンバーを行政とのやり取りの中で利用することになります。つまり、一般企業は全て該当するということになります。
一般企業は全て該当すると考えて間違いないようですね。

マイナンバー制度は、日本中に影響を与える大きな新制度と言えます。

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個人番号関係事務実施者は何をする必要があるのか?

雇用保険・健康保険・厚生年金保険関連
・従業員の入退社に伴う「雇用保険被保険者資格取得(喪失)届」、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得(喪失)届」などを作成、提出する事務。

源泉所得税関連
・年末調整に際し、従業員から給与所得者の扶養控除等(異動)申告書などを受け取り、「源泉徴収票」や「給与支払報告書」などを作成、提出する事務。
・社員の退職にあたり、「退職所得の源泉徴収票」を作成、提出する事務。

そのほか、従業員以外の個人のマイナンバーが必要となるケースとして、以下のような支払調書の作成、提出事務があります。

支払調書関連
・税理士など士業への顧問報酬など源泉所得税の発生する支払に伴い、支払調書(「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」)を作成、提出する事務。この場合は支払先となる税理士などのマイナンバーが必要となります。
・講演や原稿等を外部の第三者に依頼し、講演料や原稿料など源泉所得税が発生する支払に伴い、支払調書(「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」)を作成、提出する事務。この場合は、講演者や原稿の執筆者のマイナンバーが必要となります。 事業所など不動産を借りている場合には「不動産の使用料等の支払調書」を作成しますが、家主が個人の場合は、家主のマイナンバーが必要となります。

結構多くの業務をやらなければいけないようですね。

今までの業務にプラスされる分は、残業しなければ終わらないかもしれません。

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個人番号関係事務実施者が知っておくべきこと。

マイナンバーの利用制限

マイナンバーの利用範囲は、法律に規定された社会保障、税および災害対策に関する事務に限定されています。一般の中小企業の場合は、社会保障および税の分野に限定されていると考えれば良いでしょう。

マイナンバーの提供の求めの制限、収集制限

利用に制限がありますので、従業員などにマイナンバーの提供を求め、収集する場合も、社会保障および税の事務を利用目的とする範囲でしか、提供を求めることおよび収集することはできません。

マイナンバーの提供制限

中小企業がマイナンバーを提供できるのは、社会保障および税に関する事務のために従業員などのマイナンバーを行政機関や健康保険組合などに提供する場合に限られます。

マイナンバーの保管(廃棄)制限

マイナンバーは社会保障および税に関する事務を処理するために収集、保管するわけですから、それらの事務を行う必要がある場合に限り、保管し続けることができます。継続的な雇用契約がある場合、従業員などから収集したマイナンバーを源泉徴収や健康保険・厚生年金保険などの関連事務で翌年以降も継続的に利用することが予定されますので、継続的に保管することができます。

上記の制限を守らないと、厳しい罰則や罰金が科せられます。

マイナンバー担当者は、厳守してください。

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