マイナンバー制度が始まったことで税と社会保障に関する各種書類に個人番号を記載しなければならなくなりました。しかし平成28年度改正税制大綱によると一部の書類でマイナンバーの記載が不要になるとのことです。どのような書類で不要になるのかチェックしておきましょう。
税制改正大綱とは?
税制改正大綱とは、翌年度の税制改正法案を決定するのに先立って、与党や政府が発表する税制改正の原案のことで、通常、毎年12月半ばに発表されます。政府が国会に提出する税制改正法案の元になります。
税制改正については、予算と並行して前年春頃から財務省・主計局の作業が開始されます。そして、各界および各省庁の要望を聞いて取りまとめ作業に入ります。これを受けて、税制改正大綱が決定されます。これに沿って、政府は「税制改正要綱」などを閣議決定し、法律案が内閣法制局で審議され、「税制改正法案」として国会に提出されます。
税制改正大綱に明記されたというだけではまだ原案の段階なので決定事項というわけではありませんが、よほどのことがない限り大きく変わることはないと見て良いでしょう。
平成28年度税制改正大綱の内容は?マイナンバー記載について見直し!
平成27年12月16日に公表された自由民主党・公明党の「平成28年度税制改正大綱」では、マイナンバーについて「マイナンバーの記載に係る本人確認手続やマイナンバー記載書類の管理負担に配慮し、一定の書類についてマイナンバーの記載を不要とする見直しを行う」 としています。
マイナンバーの事務負担増で頭が痛い企業担当者の方にとっては朗報ですね。
どのような書類で記載不要になる?
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国税で記載不要になる書類
提出者等の個人番号(マイナンバー)を記載しなければならないこととされている税務関係書類(申告書及び調書等を除く。)のうち、次に掲げる書類について、提出者等の個人番号の記載を要しないこととする。
(1)申告等の主たる手続と併せて提出され、又は申告等の後に関連して提出されると考えられる書類(例:所得税の青色申告承認申請書、消費税簡易課税制度選択届出書、納税の猶予申請書)
(2)税務署長等には提出されない書類であって提出者等の個人番号の記載を要しないこととした場合であっても所得把握の適正化・効率化を損なわないと考えられる書類(例:非課税貯蓄申込書、財産形成非課税住宅貯蓄申込書、非課税口座廃止届出書)
国税の適用開始時期
(注1)上記(1)の改正は、平成 29 年1月1日以後に提出すべき書類について適 用する。
上記(2)の改正は、平成 28 年4月1日以後に提出すべき書類について適 用する。
(注2)上記の改正の趣旨を踏まえ、個人番号の記載を要しないこととする上記 (1)の書類については、施行日前においても、運用上、個人番号の記載が なくとも改めて求めないこととする。
地方税で記載不要になる書類
(1)地方税関係書類のうち、申告等の主たる手続と併せて提出され、又は申
告等の後に関連して提出されると考えられる一定の書類について、納税義
務者、特別徴収義務者等の個人番号の記載を要しないこととする。詳細は
別添一覧表(以下「一覧表」という。)を参照すること。
(2)給与等、公的年金等又は退職手当等の支払者に対して次に掲げる申告書 の提出をする場合において、その支払者が、当該提出をする者の個人番号 及び当該申告書に記載すべき控除対象配偶者又は扶養親族等の個人番号 その他の事項を記載した帳簿を備えているときは、当該提出をする者は、 当該申告書に、その帳簿に記載されている個人番号の記載を要しないこと とする。(下記申告書は、国税(所得税)と共通する様式として用いられ るものであり、所得税においても、今般、同じ見直しが行われることとさ れている。)
1給与所得者の扶養親族申告書
2公的年金等受給者の扶養親族申告書
3退職所得申告書
事業者の方が注目するべきは「給与所得者の扶養親族申告書」、「公的年金等受給者の扶養親族申告書」、「退職所得申告書」でしょうか。ただしこれらの書類が記載不要になるには、既に従業員からマイナンバーの提供を受けて帳簿などの形式で保管しており、後で紐付けできるようにしているならばというように一定の条件が課されいているので注意が必要です。
注意!個人番号不要の書類でも法人番号は必要!
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ただし、これらの書類のうち法人・個人共通のものについては、マイナンバーの記載が不要となっても法人番号の記載は必要となる予定ですので、その点注意しておく必要があります。
個人番号の記載が不要になるからといってマイナンバーの記載まで不要になるというわけではないので注意しましょう。