社会保険料未納問題!零細の取引先がある企業はマイナンバー倒産を警戒すべき?

マイナンバーは税と社会保障の公平を目指すためのもので、社会保険料未納問題はその焦点の一つです。社会保険の徴収が強化されれば零細企業はマイナンバー倒産が相次ぐかもしれません。そうなれば零細企業と取引のある企業も債権を回収し損ねるなどのリスクを負うことになります。

マイナンバーは税と社会保障の公平を実現するための制度!

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マイナンバー(社会保障・税番号)制度は、社会保障、税、災害対策の分野で 効率的に情報を管理し、複数の機関が保有する個人の情報が同一人の 情報であることを確認するために活用されるもので、行政を効率化し、 国民の利便性を高め、公平・公正な社会を実現する社会基盤です。
まず、行政の効率化です。マイナンバー制度の導入後は、国や地方公共 団体等での手続で、個人番号の提示、申請書への記載などが求められます。 国や地方公共団体の間で情報連携が始まると、これまで相当な時間が かかっていた情報の照合、転記等に要する時間・労力が大幅に削減され、 手続が正確でスムーズになります。
次に、国民の利便性の向上です。これまで、市役所、税務署、社会保険事務所 など複数の機関を回って書類を入手し、提出するということがありました。 マイナンバー制度の導入後は、社会保障・税関係の申請時に、課税証明書 などの添付書類が削減される場合があるなど、面倒な手続が簡単になります。 また、本人や家族が受けられるサービスの情報のお知らせを受け取ることも 可能になる予定です。
最後に、公平・公正な社会の実現です。国民の所得状況等が把握しやすくなり、 税や社会保障の負担を不当に免れることや不正受給の防止、さらに本当に 困っている方へのきめ細かな支援が可能になります。
しかしマイナンバー制度の真の目的は、行政の効率化と公平・公正な社会の実現です。つまり早い話が社会保険料と税の徴収強化にありま す。このうち社会保険料で大きな効果が見込ま れているのは企業の年金未納対策です。厚生年 金の場合、全国 250 万事業所のうち、およそ 80 万の事業所で保険料に未納があると厚生労働省 はみています。会社が従業員の給料から保険料 を天引きしていながら、それを国に正しく納め ていないとなれば、その従業員は納めた分に見 合った年金を将来受け取れなくなってしまいま す。マイナンバー制度では個人に番号が振られ るように、企業には 13 桁の法人番号が振られ ます。日本年金機構はこの番号を使って、国税 庁の持つ企業の源泉徴収データの中から従業員 に給料を払っているのに、厚生年金の保険料を 納めていない企業を簡単に割り出せるようにな り、加入指導や強制徴収などが行いやすくなり ます。
社会保険には、「雇用保険」「労災保険」「健康保険」「厚生年金保険」の4種類があります。これらは、法人の場合は社長1人の会社でも加入しなければならず、個人事業でも5人以上雇用していれば加入義務があります。ただ、未加入企業が多いのが実情でした。企業は従業員の所得税や住民税の支払いを代行していますから、税務当局の情報と突き合わせれば簡単に未加入が発覚しそうなものですが、これまでは役所間の情報共有に限界があり、それができていなかったのです。
マイナンバーの実施により税と社会保障の公平な社会が目指され、これまで放置されていた社会保険料未納問題にメスが入ることになります。

未納しているのは零細企業ばかり?

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単純計算すると「未納者200万人÷事業所75万カ所=約2.6666……人」ということで、従業員が2~3人程度の零細企業のイメージが浮かぶ。社会保険は、法人の場合は従業員がいなくても強制加入になっている。個人経営の場合は「従業員5人以上」だと強制加入になる。

つまり、社会保険の未納事業所は「とうちゃん、かあちゃん経営」レベルの零細企業が大半を占めると想像される。例えば、商店街の小さなお店を想像してほしい。八百屋や魚屋、駄菓子屋といった地元密着型のお店や事業所だ。

「従業員の厚生年金」の問題というよりも「店主夫婦の厚生年金」の問題だと言った方がふさわしいかもしれない。「店主夫婦」にしてみれば「これまで未納だったので、今さら掛けたくない」という本音もあるだろう。

社会保険を未納しているのは小規模・零細の事業所と言われており、その事業規模から社会保険を支払う余裕がないのではないかとも言われています。

社会保険の追徴は零細企業にとって負担が重すぎる?

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マイナンバーの導入後、会計検査院など当該官庁はそのデータを元に未加入企業の摘発に乗り出すと思われる。ルール上は、過去2年分の支払いを命じることができる(それ以前は時効扱い)。

ここで問題となってきそうなのは、従業員負担分の扱いだ。それは本来従業員が負担するべきものだが、今さら払えとは言いにくいもので、事業所側が全額を負担するケースが多い。そうなると過去2年分の保険料の総額はこうなる。「平均年収300万円×保険料率0.3×従業員3人×2年分=540万円」。

500万円以上……。零細企業の社長が真っ青になっている顔が想像されるだろう。この金額は、零細企業にとっては死活問題だ。もし、会計検査院などが本腰を入れたら零細企業は“壊滅的”な打撃を受け、おそらく自主廃業ができるのは良い方で、自己破産に追い込まれるところが少なくないのではないか。

社会保険料の追徴により倒産ラッシュが始まる?

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一方で民間企業の場合、「マイナンバー導入後に倒産ラッシュが始まる恐れがある」と、社会保険労務士の北見昌朗(まさお)氏は警告する。

「民間企業の中には、売上げ不振などを理由に社会保険(厚生年金・健康保険)に加入していないと思われる企業が中小・零細業者を中心に約70万社ありますが、マイナンバー導入によって、そうした未納業者の社名や所在地が一気に炙(あぶ)り出されることになります。

その後、始まるのが社会保険料未納分の一斉徴収。その場合、社会保険料の時効は2年ですから、年金機構から“過去2年分の保険料”が徴収されることになります」

零細企業の一つ二つが倒産するくらいなら社会的影響は軽微ですが、連鎖倒産によって路頭に迷う人が多く出れば社会問題になりかねません。

共倒れの危険性も・・・!

マイナンバーによって社会保険の徴収が強化されれば零細取引先に債権を持っている企業は対応を迫られるかもしれません。現状は財政状態の危なそうな取引先を警戒する以外この問題への対応策はないようです。危なそうな取引先があれば社会保険料をきちんと支払っているか探りを入れるようにしましょう。

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