マイナンバー制度の利用範囲は、今後間違いなく広がっていきます。今後のマイナンバーの可能性を知っておくと、企業にメリットが生まれやすくなると思われます。今回はこのことに関する記事を紹介します。
マイナンバー制度の制約を外した今後のサービスと官民連携
今後のためにマイナンバーの民間利用をまずは考えておこう。たとえば学資ローンを組む場合に本人であることをマイナンバーで確認する。確認できれば収入はマイナンバーで継続的に捕捉できるため、収入が増えたら金利設定を高めにして払うという金融商品を作ることもできる。また、諸外国のように民間事業者の会員サービスの名寄せにマイナンバーが利用できると、無駄なアカウント(ID・口座やデータなど)を作らなくて良くなり、ビッグデータの解析において、パーソナルデータ(個人に関する情報)の対象が正確になり、精度を向上させることもできる。
一元化されれば、生活すべての面で利用でき、様々な効率は上がるでしょう。
「医療等ID」は2018年度始動 マイナンバーと連携
まずは2017年7月以降のできるだけ早期に、「個人番号カード」(マイナンバーカード)に健康保険証の機能を持たせる。医療機関の窓口で患者が個人番号カードを提示することで、患者の医療保険資格を医療機関がオンラインで確認できる仕組みを構築する。医療保険者や自治体間のマイナンバーによる情報連携が2017年7月に始まることを受けたもので、医療機関の事務効率改善につなげる。その上で、医療連携や研究に利用可能な番号を2018年度から段階的に導入。この番号は、病院や診療所間の患者情報の共有や、医学研究におけるデータ管理などに利用できる。これにより、医療機関や研究機関において、患者データの共有や追跡を効率的に行えるようにする。
2018年度から段階的に導入ということなので、医療関連の企業は今から準備しておくべきではないでしょうか?
マイナンバー制度の提供機能と生活者が求める機能
野村総合研究所(NRI)が、2014年7月に「情報通信サービスに関するアンケート調査」と題し、事業者や生活者のメリットを訴求し普及を後押しするために、「個人番号カード」に追加機能があれば便利で利用するかどうか」などを調査した。この結果によると、「便利」と思う割合は77.4%(「便利なので利用すると思う」28.4%、+「便利であるが失くすと危ない等の理由で利用しないと思う」49.0%)であるが、そのうちの3分の2近くは失くすと危ない等の理由で利用しないという結果であった。つまり、唯一しかないこのICカードは、情報セキュリティやプライバシー漏洩の懸念から、便利であっても他の機能とは分けて利用したいという生活者の意識の表れであろう。
一方で、「便利なので利用すると思う」と回答した者に絞って、「行政機関から交付される証明書・サービス、および民間事業者が提供するサービスで、追加されると便利だと思う機能は何か」についても調査した。この結果によると、行政サービスに関しては、すでに一緒にする方針のある「健康保険証」が81.4%、次いで「運転免許証」72.2%、「年金手帳」67.6%、「印鑑登録証」58.4%と続いた。
同じく、民間サービスに関しては、「身分証明証」が52.0%、「病院・歯科医院の診察券」40.8%と続いた。
これらが本調査の回答の4割以上となった行政や民間サービスの一緒にしたい機能である。
これらに紐付く情報のセキュリティやプライバシーレベルはいずれも高い。
つまり、ポイント、マイレージ、会員証などのカジュアルなサービスは追加機能の上位に挙がっていない。ここから指摘できるのは、重要なカードはいっそのこと一緒にしても良いが、そうでないカードは一緒にして持ち歩きたくないという意識である。
「個人番号カード」の普及を後押しするのは、事業者や生活者のメリットに訴求する施策が有効と考えられるが、こういった民間サービスの便利な機能とは分けたいというのが生活者の本音のようであるため、これによって必要性の理解を深めることは簡単ではなさそうである。
そうなると、滅多なことでは家から持ち出さないカードになってしまいそうです。
マイナンバーカード、クレジットカード化の狙いとは?
マイナンバーカードをクレジットカード化することにどのような狙いがあるのでしょうか?考えられるのは、普及率の向上という観点です。マイナンバー制度が開始される前に「住基カード」と呼ばれているカードが配布されていました。住基カードは旅券の発行や転出などの手続きに利用できましたが、普及率はわずか5%に留まってしまいました。このような事態にならないためにも、利便性を向上し、マイナンバーを活用する人が増える狙いがあるものだと思われます。
政府の目指すべき社会とは?
「世界最先端のIT利活用社会」のインフラとして、マイナンバー制度の普及と利活用を図るため、 国・地方・民間が連携して取り組むべき事項を取りまとめ。誰もがより安全・安心にインターネットを利用できる基盤を持つ社会
誰もが必要な時に自身の情報にアクセスし、利活用でき、サービスへの満足度が向上する社会
国・地方・民間の様々な手続き・サービスが、シームレスかつ効率的に連携し、広く電子 的に完結できる社会
この社会実現のためにも、政府が率先となってセキュリティ対策を推し進めてもらいたいものです。