マイナンバーに対応した規定は大丈夫ですか?見落とされがちなのが廃棄規定!

マイナンバー制度が始まり、各企業マイナンバーに対応した規定の策定を進めていることかと思います。マイナンバーに関して就業規則のほか取り扱いに関する規定も定めなければいけません。取り扱い規定の中でも見落とされがちなのが廃棄規定です。就業規則の意味を振り返りながら廃棄規定についてチェックしてみましょう。

就業規則の変更は義務ではない!

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番号法では、事業者がマイナンバーを取り扱う際には、その利用目的をできる限り特定しなければならないとされています。

また、企業がマイナンバーを取り扱うことが出来るのは利用目的を特定した範囲のみであり、当初の利用目的と異なる利用目的でマイナンバーを利用する場合には、本人への通知が必要とされています。この「本人への通知」とは、

・社内LANにおける通知
・利用目的を記載した書類の提示
・就業規則への明記

といった方法であると、特定個人情報保護委員会のページには記載されています。つまり必ずしも就業規則を変更する必要はないですが、就業規則で明示しておいた方がベターだといえるでしょう。

もし就業規則に明示しなければ、利用方法が変わるたびにいちいち書類の提示などをしなければならず、実務上非常に煩雑ですよね。就業規則を変更して明示しておく事をおすすめします。

就業規則の変更は義務ではありませんが、マイナンバー業務を円滑に行うためにはきちんと就業規則を変更して対応しておく方が良いでしょう。

就業規則に規定する意味

 (42309)

利用目的の明示

 事業者は、給与所得の源泉徴収票作成事務のほか健康保険・厚生年金保険届出 事務等を行う場合、従業員等から個人番号の提供を受けるに当たって、これら の事務の全てを利用目的として特定して、本人への通知等を行うことにより、 利用目的の変更をすることなく個人番号を利用することができる。なお、通知 等の方法としては、従来から行っている個人情報の取得の際と同様に、社内 LANにおける通知、利用目的を記載した書類の提示、就業規則への明記等の方 法が考えられる。
従業員のマイナンバーを利用する場合、利用目的を通知しなければいけません。通知方法の一つとして就業規則への明記が認められているので、就業規則に利用目的を明記しておいたほうが良いでしょう。

秘密保持義務

マイナンバーを取り扱う従業員がいるため、秘密の保持について、就業規則に盛り込むことが必要です。

第●●条(秘密保持)
情報提供等事務又は情報提供ネットワークシステムの運営に関する事務に従事する者又は従事していた者は、その業務に関して知り得た当該事務に関する秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
2.従業員は職場または職種を移動あるいは退職するに際して、自らが管理していた会社及び取引先等の情報個人情報及び特定個人情報に関するデータ・情報書類等を速やかに返却しなければならない

マイナンバーを不正に漏洩した場合、刑事罰も含む重い罰則が科されます。外部への情報漏えいを禁止する規定を就業規則に盛り込み抑止力にしましょう。

提出の協力

事業所が公共機関へ提出する既定の書類にマイナンバーを記載することは「努力義務」とされていますが、従業員が事業所にマイナンバーを提出することを強制することはできません。そのため、安易に懲戒処分規定を定めて、制裁を加えることはそれが「けん責」などの軽微なものであっても慎重になされるべきでしょう。具体的には服務規律の章に(提供などへの)「協力」規定を設けるなどして、あくまで自主的な協力を仰ぐ姿勢が大切です。労使関係という言葉には「敵対」というイメージを抱く人もいるかもしれませんが、どちらが欠けても会社の事業は成り立ちません。労使関係には、信頼関係が一番大切です。マイナンバーも同じです。
企業は従業員のマイナンバーを収集しなければいけませんが、従業員にマイナンバーを提出する義務はありません。そこで服務規律という形で就業規則に記載しておき、提出の協力を求めることが重要です。

取り扱い規定で見落とされがちなのが廃棄規定!

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マイナンバーはいずれ廃棄しなければいけません!

個人番号関係事務を処理する必要がなくなった場合で、所管法令において定められている保存期間を経過した場合には、個人番号をできるだけ速やかに廃棄又は削除しなければなりません。なお、廃棄が必要となってから廃棄作業を行うまでの期間については、毎年度末に廃棄を行う等、個人番号及び特定個人情報の保有に係る安全性及び事務の効率性等を勘案し、事業者において判断してください。(2015年9月回答)

見落とされがちなのが廃棄規定!

あるいは個人情報を預からなければいけないわけだから、特定個人情報の取り扱いに関する規定もないといけないでしょうね。だから管理規定と取得規定と、もう1つ言うと廃棄規定。
廃棄というのは、預かっておかなければいけない期間がいろんな種類で決められているんですけれども、その期間が過ぎたら即座に廃棄しましょうという話です。
もう一回言いますよ。取得する、管理する、廃棄する。それに関してそれぞれの規定が必要になります。だからそれを全部入れて取扱い規定というマニュアルができるんでしょうね。
マイナンバー制度では業務を遂行するにあたって、取り扱い規定というマニュアルを策定することが推奨されています。取得や管理に関する取り扱い規定を設けることも重要ですが、廃棄に関する規定を定めることも大切です。廃棄はまだ先だからということで後回しにせずにきちんと規定を定めておきましょう。

保管期間は7年

たとえば、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の保管期間は7年間ですから、7年経ったらそのまま保管し続けておくことはできなくなります。データベースに入っている個人データも削除しなければなりません。書類のデータを廃棄する規定を設けている企業は多くなく、まだ書類廃棄のルール化がなされていない企業は、新しく廃棄の仕組み作りに着手する必要があります。たとえば、総務部長が年に一度、12月に保管書類の洗い出しを行い、退職後7年経った従業員の書類を一括破棄し、保存データを削除するなどの規程を定めるということです。
情報漏えいを防ぐにはきちんと保管するだけでなく、必要がなくなった情報を早めに廃棄することも重要です。マイナンバーの保管期間は従業員退職後7年間なので、保管期間が過ぎれば速やかに廃棄するようきちんとルール作りをしておきましょう。

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