年末調整って、毎年のように微妙に変更がありますよね?平成27年はマイナンバー制度の影響でどうなるのでしょうか?また、来年の年末調整等の源泉徴収事務への影響は?税への影響はいつから?企業も気になるところだと思います。今回は、これらのことに関する記事を紹介します。
平成27年分の年末調整の変更点とは?
毎年、10月末~11月頭頃になると、税務署から「年末調整のしかた」という冊子が会社に送付されてきます。
この冊子に基づき、年末調整の手続きを行っていくことになります。
私が勤務している会社にも、冊子が届きました。毎年、この冊子の最初の方に、その年の年末調整での変更点が記載されています。
そのため、そのページはとても重要です。
今年の「年末調整のしかた」では、4~5ページに書かれています。27年分の年末調整では変更点がない!
平成27年分の年末調整では、特に変更点はありません。
平成26年と全く同じように処理を行って大丈夫です。私自身もそうですが、これには多くの会社の総務担当者がホッとしたことです。
3年前くらいにありましたが、生命保険料控除制度が大幅に改正された年は本当に大変でした。
年末は何かと忙しいので、煩わしいことはなるべくしたくないものです。
平成28年分の源泉徴収事務の変更点は?
10月29日付で、国税庁ホームページで、「源泉所得税関係に関するFAQ」が公表されました。これにより、年末調整の手続きの中で提出する「平成28年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と「マイナンバー(個人番号)」の取扱いが一部変わりました。
まだマイナンバー届いていない人は、他の項を埋めて待機していましょう。
国税庁の「源泉徴収税関係に関するFAQ」によると。
Q1-6 平成27年中に個人番号の記載のない扶養控除等申告書を受領した場合、平成28年中に従業員に補完記入してもらう必要はありますか。(答)
平成27年中に個人番号の記載のない扶養控除等申告書を受領した場合、平成28年以降、従業員に従業員等の個人番号を補完記入してもらう必要はありません。
なお、平成28年分の給与所得の源泉徴収票(税務署提出用)を作成するために、従業員から個人番号を取得する手段として、平成27年中に提出された扶養控除等申告書へ個人番号の補完記入を求めても差し支えありません。また、平成28年分の源泉徴収票(税務署提出用)の作成に当たっては、平成28年末に提出を受ける平成29年分の扶養控除等申告書に記載された個人番号(平成29年分から扶養親族でなくなった者がいる場合には、当該扶養親族の個人番号については別途取得が必要です。)を使用することとしても差し支えありません。
Q1-7 扶養控除等申告書が提出される際には従業員の個人番号を記載させずに、給与支払者が税務署から当該申告書の提出を求められた場合にのみ補完記入して、提出すればよいですか。
(答)
扶養控除等申告書は給与支払者への提出期限までに、全ての記載項目を記載した上で、給与支払者に提出する必要がありますので、税務署から提出を求められるまで記載を猶予することは認められません。
企業もチェックに追われる年末となりそうです。
平成28年分年末調整は、海外居住の扶養親族に関する証拠書類の添付が義務化。
国外居住親族を扶養控除等の対象として、会社から年末調整を受けたい場合どう変わる
・給与等の源泉徴収において、その適用を受ける旨を扶養控除等申告書等に記載した上で、その申告書等に①親族関係書類を添付して会社(源泉徴収義務者)に提出する(書類①は提示のみでも可)
・さらに、給与等の年末調整において、②送金関係書類を扶養控除等申告書等に添付する(提示のみでも可)いつから変わる
多くの会社では、平成27年に受ける年末調整のタイミングで「平成28年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出を従業員に依頼すると思われますので、そのときに①親族関係書類の提出(提示)が必要と思われます。*1その上で、国外居住親族を扶養控除等の対象とした上で平成28年分の年末調整を会社にやってもらいたい場合は、②送金関係書類を会社に提出(提示)する。
したがって、平成28年中に①親族関係書類と②送金関係書類を用意できない場合には、国外居住親族分を控除から外した源泉所得税額で年末調整されてしまう(その分、手取りが少なくなる)。会社負担の発生
今回のお話の対象は当然、従業員らの所得税についてのものですが、会社は従業員へ支払う給与にかかる所得税の源泉徴収義務者となっております。
したがって、従業員から徴収する金額を計算(あるいは、年末調整を)するにあたって、その国外居住親族を扶養控除等の対象とする要件を満たしていない状況で、その親族を扶養控除等の対象者の人数に加えて計算・納税等を行ってしまうことも考えられますし、適切にやっていたつもりでも税務署から否認されることも有り得そうです。その場合は、本来従業員の代わりに納めるべきであった適正金額と、誤って扶養控除等に含めすぎて計算していた金額との差額を、まずは源泉徴収義務者である会社が負担しなければならないこととなってしまいます。(もちろん、本来はその従業員が負担すべき所得税ですので、可能であればその従業員から改めて差額を徴収することとなります。)
また当然ながら、その差額のみならず、不納付加算税や延滞税が課せられる場合には、それらの金額は会社負担となりますし、国外居住親族を有する従業員の数が多い企業や、重加算税が課されてしまうケースなどの場合には、会社負担も大きくなってしまうことがあるでしょう。
あらかじめ税務署に相談しておくなどの、対策が必要です。
マイナンバーはどの税金にいつから影響する? 今後のスケジュール。
申告書や税金の種類別に導入スケジュールをみていくと、以下のようになります。・所得税や贈与税 平成28年分の申告書から
・法人税 平成28年1月1日以降に開始する事業年度に係る申告書から
・消費税 平成28年1月1日以降に開始する課税期間に係る申告書から
・相続税 平成28年1月1日以降の相続または遺贈に係る申告書から
・源泉徴収票 平成28年1月以降の金銭等の支払等に係るものから具体的な例におとしてみましょう。
●個人の所得税の場合
平成28年分の所得税は平成29年3月期に申告します。そのため、マイナンバーが記載された申告書を税務署に提出するのも平成29年3月期となります。●準確定申告の場合
平成28年分の準確定申告書(亡くなった方の確定申告)については、平成28年中に提出するものからマイナンバーを記載することになります。