新入社員の入社に備えよう!まだマイナンバー対応していない企業は何から始めるべき?

4月から新入社員を大勢迎えるという企業は中小企業においても多いかと思います。まだマイナンバー制度に対応できていないという企業は急いで対応しなければいけません。まず何から始めればいいのか見ていきましょう

新入社員のマイナンバーも取得しなければならない!

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まもなく4月、企業では新卒の新入社員を迎える季節になります。中小企業でも大企業ほどの人数ではないにしろ、従業員の入社が多い季節です。

従業員の入社は、個人番号関係事務実施者となる企業の立場からみると、入社に伴う手続きで従業員のマイナンバーを取得しなければならないことになり、昨年までの入社手続きに加えて、その分業務負担が増えることになります。

相次ぐマイナンバーの流失や紛失!

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 自分と長男の通知カードを勤め先に紛失されたという東京都の50代の男性は、こう憤る。昨年末、年末調整に必要だからと、勤め先から通知カードの提出を求められた。「コピーではだめ」と言われ、扶養している大学生の長男の分と一緒に原本を書留で神奈川県の本社に送付。ところが20日ほど後に「届いていないので早く送るように」と催促があった。書留の配送記録で会社に届いたことを確認すると、総務担当者は「カードが見つからない」。初めて紛失がわかった。
 横浜市教育委員会は27日、市立新吉田小学校(港北区)の20代女性事務職員が、教職員38人とその家族16人の計54人分のマイナンバーが書かれた書類を紛失したと発表した。事務職員は神奈川県警などに遺失物の届け出をした。情報の悪用は確認されていないとしている。

 市教委によると、事務職員は26日午後、東急横浜駅で下車する際、マイナンバーのほか、教職員や配偶者と扶養親族の氏名が記入された書類を入れたかばんをなくしたことに気付いた。

 神奈川県教委の給与事務所に書類を届ける途中で、10分ほど乗車している間、足元にかばんを置いていた。〔共同〕

このような事件が起きることからも、万が一を想定してマイナンバーを収集する前に社内の体制を構築する必要があることがわかります。

マイナンバー収集を始める前に体制を構築しよう!

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紛失に至った事例では、マイナンバー紛失の対象となった当事者はいずれもマイナンバーの再発行の手続きを取ったようです。

このような過失による紛失や情報漏れでいきなり処罰されることはありませんが、個人情報保護委員会から管理体制等の改善を求められることになり、仮にそれに従わなかった場合は、処罰が検討されることになります。

ここで取り上げられている事例は、少なくとも従業員からマイナンバーの収集を行うところまでは準備を進めていたにもかかわらず、その体制に不備があったといわざるをえません。

これから準備を進める中小企業で、これらのトラブルが起こらないように体制作りを行うにはどのようにすれば良いのでしょうか?

真っ先にすることは従業員の周知・教育!

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 回答総数1万9,472のうち、制度導入に際して行った(進めている)対応策は「社内での周知」が回答数5,370(構成比27.6%)で最多だった。次いで「従業員などのマイナンバー把握・管理方法策定」が同4,188(同21.5%)、「人事・給与・経理システム更新」が同2,454(同12.6%)、「情報取扱関連規定の作成・改訂」が同2,372(同12.2%)、「情報漏洩セキュリティ体制強化」が同2,141(同11.0%)、「業務担当者向け研修」同1,567(同8.0%)、「関連業務の外部委託」同831(同4.3%)、「何も実施しなかった」同440(同2.3%)、「その他」同109(同0.6%)と続く。
 前回調査(回答総数1万2,501)でも、「従業員などのマイナンバー把握・管理方法策定」が同2,260(同18.1%)で2位にランクし、引き続き社内管理体制に力を入れていることがわかった。一方、「情報セキュリティ体制強化」は前回、同2,463(同19.7%)でトップだったが、今回は構成比がほぼ半減し、企業側の対応の優先度が下がっている可能性も考えられる。
上記は東京商工リサーチが行ったアンケート結果の一部です。アンケートにおいて、以前は情報セキュリティ体制を強化することがトップになっていましたが、今回は社内での周知がトップとなっています。多くの会社が、マイナンバー制度において重要なのは従業員の周知教育だと気付いている証拠でしょう。

政府の広報資料も活用しましょう!

マイナンバー社会保障・税番号制度

マイナンバー社会保障・税番号制度
政府による広報資料の一覧が載っているページです。
ダウンロードできる資料や動画もあるので是非従業員への周知や研修に利用しましょう。特に動画は流して従業員に見せるだけで研修になるので便利です。

中小企業は取扱規程策定に力を入れよう!

実務的な対応としては、推進体制が決まったら、マイナンバー法に関連する書類を扱う部門がどこに当たるかなど、業務の洗い出しを行うことから始めます。2015年10月の番号通知までには社員教育を終えておかなければなりませんので、まだ業務の洗い出しが終わっていない企業のみなさんは、今から早急に始めるべきでしょう。また、洗い出しをすると、どのITシステムを改修しなければならないか等もおのずとわかってきます。改修が必要なシステムに関しては、対象システムの担当ベンダーと協議しながら具体的な検討を進める準備に取り掛かる必要があります。民間企業向けにマイナンバー制度対応の受託を打ち出しているシステムベンダーも見られますので、問い合わせてみるのも一考でしょう。
個人番号を取り扱う際は、既存の事務業務とは全く異なる作業が多く発生しますので、マイナンバー制度導入の新運用に則したマニュアルの整備が必須となります。また、個人番号が付加される特定個人情報に関しては、取り扱い上の制限がこれまでの個人情報より格段に厳しくなるため、社内規程の見直しも必要になります。これまでの業務フローを改変し、新規業務フローを立ち上げ、それに対応した事務作業を行える準備をする。そして、社内規程を整備し直し、新たなITシステムを構築するには相当の時間とコストがかかります。
周知と研修の次は基本方針や取扱規程の策定を行いましょう。特に中小企業では基本方針よりも取扱規程の策定に力を入れることが大切です。

ガイドラインでの基本方針と取扱規程に関する記述

基本方針

A 基本方針の策定
特定個人情報等の適正な取扱いの確保について組織として取り組むため に、基本方針を策定することが重要である。
≪手法の例示≫
* 基本方針に定める項目としては、次に掲げるものが挙げられる。 ・ 事業者の名称
・ 関係法令・ガイドライン等の遵守
・ 安全管理措置に関する事項
・ 質問及び苦情処理の窓口 等

取扱規程

≪手法の例示≫
* 取扱規程等は、次に掲げる管理段階ごとに、取扱方法、責任者・事務取扱担 当者及びその任務等について定めることが考えられる。具体的に定める事項 については、C~Fに記述する安全管理措置を織り込むことが重要である。
1 取得する段階
2 利用を行う段階
3 保存する段階
4 提供を行う段階
5 削除・廃棄を行う段階
* 源泉徴収票等を作成する事務の場合、例えば、次のような事務フローに即し て、手続を明確にしておくことが重要である。
1 従業員等から提出された書類等を取りまとめる方法
2 取りまとめた書類等の源泉徴収票等の作成部署への移動方法
3 情報システムへの個人番号を含むデータ入力方法
4 源泉徴収票等の作成方法
5 源泉徴収票等の行政機関等への提出方法
6 源泉徴収票等の本人への交付方法
7 源泉徴収票等の控え、従業員等から提出された書類及び情報システムで
取り扱うファイル等の保存方法
8 法定保存期間を経過した源泉徴収票等の控え等の廃棄・削除方法 等
【中小規模事業者における対応方法】
○ 特定個人情報等の取扱い等を明確化する。
○ 事務取扱担当者が変更となった場合、確実な引継ぎを行い、責任
ある立場の者が確認する。

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