第二次世界大戦時、ナチス政権の独裁を経たドイツでは、国家の専制を防止するため共通番号の使用を違憲としました。ここでは、ドイツが導入した分野ごとに異なる番号を使用するセパレートモデルと呼ばれる方式について解説します。
分野ごとに異なる番号を使用するセパレートモデル
ドイツでは、行政事務の効率化を図るため、1970年代に連邦住民登録法案において個人識別番号の導入が提議されたが、国民の反発も高く、連邦憲法裁判所が統一的な個人識別番号は違憲との判決を下したため、同法案は廃案となった。同判決も一因となり、ドイツでは番号制度としてセパレートモデルが採用されている。社会保障の中でも分野ごとにIDが設けられており、医療分野においては医療被保険者番号が用いられている。
ナチス時代の反省が景にあるドイツ
ドイツは、セパレート・モデルをとっていますが、これは「連邦憲法裁判所が下した、1983年の国勢調査に汎用の共通番号を利用することは違憲となる可能性がある旨の示唆を含んだ判決及びこの判決に基づいた汎用の共通番号の導入は連邦基本法(連邦憲法)上ゆるされないとする連邦議会の見解」があるからです。こうした見解の根底には「ナチス時代の反省が強くあり、公権力が個人を管理することには、非常に慎重」なのです。
また、旧東ドイツにおける過酷な経験がある。旧東ドイツでは、すべての国民に12桁の個人識別番号を付し中央民事登録台帳で管理し、さらにはIDカード携行を義務付けていた。しかも、社会主義国家イデオロギーに基づく国民意思の統合をはかるねらいから、監視カメラその他の監視機器があらゆる場所に設置され、
①すべての人は被疑者であり得る
②安全は法律に優先する、そして
③重要でない情報はない、という原則に基づき個人情報が収集された。
ドイツの納税者 (ID) 番号制度
これは、全ての納税者に番号を付け、所得や資産、納税の状況を一元的に把握するシステムです。
ドイツの納税者ID番号デュッセルドルフに限らず、ドイツでは労働する際に必ず必要となってくるのが、納税者ID番号(Steuer-Identifikations-Nummer, IdNr)です。
11桁の数から鳴子の番号は、ドイツ国内の納税者の毎年の収入と税類を電子化するシステムで、仕事先に渡します。
毎月、給料が払われると同時に、いくら払ったなどの詳細が記入された書類を渡されるので、家の安全なタンスの中にでも入れて、覚えておきましょう。
例えば、住居探しの際に、過去3ヶ月分のこの書類を見せてくださいと聞かれたり、低給料の方が毎年、払いすぎた税金を返還する際や、仕事先を変える際などにも必要となってくるので、なくすことのないように気をつけてください。
ドイツの新しい税識別番号発行 (Steueridentifikationsnummer)2008年度より8千2百万人の納税者に対して、今までの税番号(Steuernummer)に代わる11桁の税識別番号が発行される事になった。
これには住所、氏名、性別、年令、生年月日、管轄税務署名が記録され、この番号下で収入、所得税、保険支出、年金収入、アルバイト収など全ての動きがコンピューターで管理される。
これによりデーター管理の簡素化、統一化を計り、同時に脱税防止を目的にする。
税識別番号(Steuer Identifikationsnummer)2007年に導入された制度で、ドイツで住民登録をしている人すべてに割り当てられる11桁の数字です。
仕事の有無や納税者、非納税者にかかわらず、また、大人だけではなく、子どもにもこの番号が割り当てられます。子どもでも「収入」があれば、課税されるからです。
この番号には、名前・住所・性別・生年月日・生誕地と管轄の税務署が紐付けられていますが、引っ越しても結婚しても、一生同じ番号を使用します。
銀行やバウシュパーカッセ住宅金融の貯蓄商品、年金保険や投資信託などの申し込み時にも必要となります。
【ドイツ】 訪問先:内務省・ロガール=グローテ事務次官、財務省・コシィック政務次官○ 税務行政でのみ活用する納税者番号制度を導入。
○ ドイツの納税者番号制度は、税務行政の効率化を目的とするもの。連邦財務省は納税者番号の付番を行ったが、徴税そのものは州政府の仕事。所得データも州政府が保有。
○ 社会保障制度と所得情報の連携システムの構築を準備中(通称:ELENA システム)。
このシステムには被雇用者の所得情報が蓄積されるが、本人が失業給付等の社会保障制度の提供を申請した場合に限って、本人の所得情報が社会保障担当官庁に提供されるという仕組みを予定。20 1 2 年稼働予定。
eIDカードを使ったオンライン認証
ドイツのeIDサービス• eIDカードの中に格納されている属性情報を、本人の同意に基づき、インターネット等電子的な手段を経由して、サービス提供事業者に提示可能。
• 利用できるサービスは将来拡大予定。
•バイエルン州のインゴールシュタット市では、eID機能をオンにしている利用者が多い。
その理由は、eID機能を使えるサービスが多く、eID機能の認知度も高いためである。例えば、引越しサービスがある。
完全に自動化はできないが、オンラインで届出ができるので、窓口で予めチップデータを用意しておいて、すぐにカード内容を変更することができる。
また、eIDカードの券面には住所が書かれているので、住所変更時にはシールを貼っている。•eID機能を用いた民間サービスとしては、eIDカード導入当初は、銀行、保険会社、債務情報サービスなどがサービス提供を始めたが、その後はあまり増えていない。"
電子身分証明書、いよいよ発行開始11月1日から、チップ入りの電子身分証明書が発行されるようになった。
インターネットの普及により買い物や銀行振り込みがオンラインで行われるようになった今日、提示し、肉眼で確認されることによってのみ身分が証明される“アナログ”の証明書をデジタル化し、オンライン取引をもっと便利にしようとしたものだ。
ドイツは昨年の総選挙前から電子住民証導入が確定し、今年11月から電子住民 証が導入される予定だ。
ドイツの電子住民証(Personalausweis、個人証明書)は ICチップを挿入し、その中に個人情報と前面部写真、そして個人が望めば2つの 指紋を保存できる。またドイツは電子住民証の他に電子健康保険証も拡大しようとして物議をかも している。
この電子健康保険証は患者情報を電子的に収録した健康保険カード で、現在のところ選択的に使われてきた。
だがこれを義務化しようとしており、 一部の病院では電子健康保険証だけを要求するケースもあり、法廷での争いに もなっている。