【企業向け】懸念される訴訟【マイナンバー】

これからマイナンバーが導入されますが、どういった裁判が考えられるのか?その予想をまとめました。

目次

<情報漏えい系>
 外部犯行、内部犯行
<副業系>
<裁判所提出書類について>
<参考:マイナンバー制度に対する訴訟>

情報漏えいは必ず起こると予想されている

ちょっと置き忘れただけでも情報は洩れます

ちょっと置き忘れただけでも情報は洩れます

厳重な警戒をするといっても番号を使う場合には、インターネットにつながっている環境で作業することとなります。WEB上のセキュリティに100%はありませんし、必ず漏れると思っておいて良いと思います。

マイナンバーの管理は、自治体ごとの管理となるため、各役所ごとにセキュリティレベルも違うでしょう。役所がサイバー攻撃により情報を漏洩してしまうのも時間の問題だと思われます。

また、企業から漏れる可能性は非常に高いと言えます。日本全国には 300万社近く企業がありますが、そのほとんどが中小零細企業です。マイナンバーの厳重な管理の為に投資するお金もないですし、そもそもマイナンバーのことをあまり分かっていないケースも多いです。

従来の法律よりも罰則がかなり強化されている

【知らないと犯罪!?】気になる制限や罰則について – マイナンバー大学

【知らないと犯罪!?】気になる制限や罰則について - マイナンバー大学
個人情報保護法などで規定された罰則と比べて、金額も懲役期間も2倍となっている項目があります。

情報漏えい させた側が問われる罪

ハッキングなど

ハッキングなど

漏洩者自身は、被害者である本人から不法行為に基づく損害賠償請求を受ける可能性があります。
真っ先に責任を問われるべきは、漏洩者自身です。
漏洩者は、漏洩した個人情報の内容および漏洩の原因次第では、漏洩された個人情報の対象者のプライバシーの権利を侵害したとして、被害者であるその対象者本人から不法行為に基づく損害賠償請求を受ける可能性があります。
また、その人の名誉を著しく傷つけたり、その人の業務を妨害したりした場合には、名誉毀損罪や業務妨害罪が成立する場合もあります。
プライバシーの権利の侵害、名誉棄損、業務妨害などが挙げられていますね。
漏洩者の個人情報の保有者である企業に対する責任
企業に対して、損害賠償請求、窃盗罪、横領罪、不正アクセス罪などの民事・刑事責任が生じる場合があります。
洩漏された個人情報が企業の保有・管理する情報である場合、それらの個人情報はその企業の「営業秘密」にあたることがあります。
その場合、漏洩者は、営業秘密を漏洩された被害者である企業から、企業の営業秘密を保護する法律である不正競争防止法や民法の不法行為の規定に基づいて損害賠償請求などを受けることになります。
また、漏洩者がその企業の従業員である場合には、雇用契約違反や就業規則違反に基づく損害賠償責任を追及されたり、あるいは懲戒等の処分を受けたりすることも考えられます。
また、漏洩者の行為が、個人情報を記録した媒体(記録メディア)を取得することで個人情報を漏洩したような場合、窃盗罪、横領罪、もしくは業務上横領罪が成立し、また、アクセス制御がなされているコンピュータに不正アクセスして個人情報を取得したような場合、不正アクセス罪等が成立し、刑事責任が生じる場合もあります。
外部犯行の場合、「漏洩させた」として管理責任が問われる可能性があります。
また、犯人を特定し裁判を起こす場合は準備が必要です。
身内に犯人がいたら・・・

身内に犯人がいたら・・・

企業の内部者による漏洩の場合
漏洩者が企業の従業員である場合、その企業は、従業員や業務委託先が行った第三者に対する加害行為について企業自体が責任を負うことを定めている民法715条に基づき「使用者責任」を問われることになります。
内部犯行の場合、従業員の使用者責任が問われます。

情報漏えいは個人からだけでなく集団で訴えられる危険性

尽きない悩み

尽きない悩み

民間企業やマイナンバーを扱う事業者等は、マイナンバーを漏洩しない為の予防策はもちろん、万一漏洩した場合の訴訟対策なども必要かと思われます。
また個人の方の場合は、万一自分のマイナンバーが漏洩した場合、まずは番号の変更を行い、その後の対応として、状況により訴訟も視野に入れるというスタンスで良いと思います。

大規模なマイナンバーの漏洩となった場合には、集団訴訟というケースもあると思われますので、最新情報を当サイトより確認してください。

企業側は「漏えいさせてしまった」「漏えいさせた人間を特定する」立場として訴訟対策。
個人は、「漏洩させられた」立場として企業を訴える可能性があります。

副業がらみの訴訟も起こり得る

私は北米という副業は当たり前のところにいますが、面接の際、あまり副業のことを聞かないようにしています。それが理由で採用判断が変われば「差別」されたとして訴えられる可能性があるからです。結婚しているかどうかも聞けないのに副業を聞くのもタブーでしょう。

多分ですが、日本でも誰か必ず訴えを起こす事態が生じると思います。その際の判決の行方次第ではマイナンバー制度に大きな瑕疵が生じるということになります。その場合の修正は大変だろうと思います。

副業を就業規則で禁止していても解雇できないケースがあります。

こちらに記事をまとめていますので、合わせてお読みください。

【企業向け】従業員の副業はどうする?【マイナンバー】 – マイナンバー大学

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労働裁判:提出する書類にも注意が必要

源泉徴収票にもマイナンバーが記載

源泉徴収票にもマイナンバーが記載

1 マイナンバーと証拠
 マイナンバー法が施行されると、会社から交付される【源泉徴収票】には、自分のマイナンバーだけではなく、扶養家族のマイナンバーも記載*されることになります*されることもあるかもしれません(必要ではなく不要であるが、記載しても違法ではないという扱いのようです。末尾のの10/6付注記参照)。

>国税分野における社会保障・税番号制度導入に伴う各種様式の変更点

 そして、この【源泉徴収票】。裁判ではたびたび証拠として提出されます。

 交通事故の裁判で、「仕事を休まなければいけなかったことによる損害」や、「後遺症が残ったことで今後収入が減ることによる損害」を証明するためには、その人が「幾ら収入を得ているのか」を明らかにすることが必要になります。

※引用文の*印の間は取り消し線
裁判の際に提出する源泉徴収票(税務署報告用)にもマイナンバーが記載されることになります。
その他、調書などにも記載されるため注意が必要です。
プライバシーの侵害などを主張される恐れがあるようです。

まとめ

これからマイナンバー絡みの訴訟は増加していくと考えられます。
担当の皆さまは、セキュリティ対策に加え、訴訟対策も抜かりなく。

参考)マイナンバー制度に対する訴訟

マイナンバー制度はプライバシーを保障した憲法に違反するとして、弁護士や市民でつくるグループが、マイナンバーの使用差し止めなどを求める訴えを今年12月にも全国で一斉に起こすことが28日、分かった。提訴先は東京や大阪など7カ所の地裁を予定している。
マイナンバーのプライバシー性について、訴訟を起こそうとする動きがあります。