副職で働いている従業員が「ばれる」ことを懸念してマイナンバーの提出を拒否した場合、事業主はどのように対応したら良いでしょうか。正しい知識を身に着けて対処する必要があります。
マイナンバーで副職がばれる?!
税務署が会社に直接「おたくの社員の◯◯さんが、△△社でバイトしてますよ」とチクるわけではない。ここでネックになるのは「住民税」の金額だ。
住民税には給与所得以外に副業もあればその部分についての税金も含まれることになります。会社としては支払っている給与は把握しているわけですから、この住民税の金額が給与と比較すれば矛盾するような高額な税金額となっていれば疑問に感じることもありえると思います。
もちろん会社の人事や経理担当者が住民税額についてここまで注意していればという前提の話ですが、副業をしている人にとってはやっかいに感じるところではあります。
また副業の所得が大きいほど住民税の矛盾も大きくなってきますので、より発覚しやすいとはいえます。
確定申告をしなければばれない?
「副業の収入が20万円以下であれば確定申告は不要ですよね?申告しないで良いのなら、何もしなければ会社にばれませんよね?」という質問を毎日受けます。こちらで答えを記載させていただきます。
副業がばれるかどうかは、20万円基準は関係がありません。20万円以下だから確定申告をしなかったという方は、副業がばれる可能性が結構あるわけです。
20万円基準が関係するのは所得税の話です。ですから、20万円以下の場合、税務署に確定申告をしなくても、代わりに市区町村の税務課への確定申告は必要ですし、副業で仕事をしていることがばれるかばれないかという事とは関係がありません。よく、金額が小さいので「申告しなくてもよいですか?」というご質問をされる方がいらっしゃいますが、脱税には当事務所は加担できないため、「申告をしてください」という答えしかありません(節税は推進しますが)。また、申告をしないということは、基本的に副業が大変ばれやすくなるので、無申告は避けてください。
【副職先で】マイナンバーの提出を拒否されたら
Q4-2-5 税や社会保障の関係書類へのマイナンバー(個人番号)の記載にあたり、事業者は従業員等からマイナンバーを取得する必要がありますが、その際、従業員等がマイナンバーの提供を拒んだ場合、どうすればいいですか?A4-2-5 社会保障や税の決められた書類にマイナンバーを記載することは、法令で定められた義務であることを周知し、提供を求めてください。それでも提供を受けられないときは、書類の提出先の機関の指示に従ってください。
【厚生労働省】事業主の皆さまへ
マイナンバー提供の拒否を防ぐには、事前に書面で縛っておく必要があります。具体的には、就業規則や業務委託契約書などの書面にマイナンバーの提供を義務付ける項目を入れます。それだけで、従業員や仕事を請けている人間は、マイナンバーの告知の義務が生じますし、応じない場合のペナルティも明記できますので、分かりやすいです。
万が一、就業規則等の縛り付けるものがない状態でマイナンバーの提供を拒否してきた場合は、下記の戦法がオススメです。マイナンバーを勤め先に教えることは、税務上・社会保障に必要なことであり義務なので教えてほしいと依頼を徹底する
応じない場合、その経緯を書面にして保管する
税務申告の際には、その履歴をもとに制度に違反してマイナンバー付きで報告をしていないわけではない旨が分かるようにする
拒否された事業者側はどうなるのでしょう。国税庁HP掲載の「社会保障・税番号制度FAQ」の中では、マイナンバーの記載がない、もしくは、誤っていたとしても、税務署が書類を受理しないということはなく、罰則規定は税法上設けられていないと解説されています。つまり、従業員や支払調書発行対象者からマイナンバーの情報提供を拒否された場合や、入力処理などを誤ったとしても、事業者の税務上問題はないとしているのです。
ただし、拒否されたわけではないものの、なかなかマイナンバーの情報が集まらないこともあります。そういう場合は、事業者の義務違反でないことを明確にしておくため、情報提供を求めた経過等を記録しておいた方がいいようです。
バイト禁止の会社もありますから、絶対にばれたくな人もいるでしょう。