マイナンバー制度スタートで、事業主のみなさんは対策と準備に忙しいことと思います。特に個人事業主の方は「給与等の支払者」「支払を受ける者」の2つの立場が両立するため、個人事業主特有の対策しなければいけないかも?今回は、このことに関係する記事を紹介します。
個人事業主の2つの立場
この2つの立場を整理してみましょう。
まずは、「給与等の支払者」としての立場です。これは企業とほぼ同じです。従業員を雇い給料を支払っている場合、その従業員からマイナンバーを取得し、給与所得の源泉徴収票や社会保険関係の手続をする必要がでてきます。
また、個人に業務委託をしている場合、一定の額を超えると「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を作成する必要が出てきます。この場合には、業務委託先からマイナンバーを取得する必要がでてきます。
次に「支払を受ける者」としての対場です。取引先から一定の額以上の報酬を受け取っている場合、取引先にマイナンバーを提供する必要が出てきます。
「給与等の支払者」として個人事業主がまずすべきこと。
利用目的を明示することマイナンバーを従業員から提供してもらうためには、まず、事前に利用目的をはっきりと示さなければいけません。これは個人情報保護法の第18条に規定されているルールですので、企業は遵守する必要があります。
また、一度取得したマイナンバーであっても、当初通知した目的とは別の用途に使いたいときは、再度利用目的を追加して通知しなければいけません。たとえば子会社に出向した従業員については、出向先で再度取得し直さなければいけないということです。
二度手間になってしまいますが、マイナンバーは重要な個人情報ですので、運用にあたってはルールの徹底が重要です。
本人確認を厳格に行うこと
なりすまし等の被害を防ぐため、日本のマイナンバー制度においては番号のみでの本人確認はしない方針となっています。マイナンバーを扱う際には、同時に本人確認もしっかりと行わなければいけません。
個人番号カードを所有している場合にはそれ1枚で本人確認が可能ですが、所有していない場合には複数の身分証明書によって厳格に審査する必要があります。
それにしても別目的での使用の際には、再び利用目的を通知しなければいけないなんて、ちょっと面倒くさそうです。
「給与等の支払者」としてマイナンバーを利用・保管・廃棄する場合
【利用・提供】 利用目的以外の利用・提供はできないマイナンバーは、法律で定められた目的以外の利用や提供はできません。たとえ、社員や顧客の同意があってもマイナンバーを社員番号や顧客管理番号などに利用することはできませんので注意してください。
「個人番号カード」の裏面に記載されたマイナンバーは、法令で認められた場合以外で、書き写しやコピーはできません。【保管・廃棄】 必要がある場合のみ保管、必要がなくなれば廃棄
マイナンバーを含む個人情報(マイナンバーが記載された書類等)の保管は、必要がある場合(継続的な雇用があるなど)や保管義務期間が決まっている場合にのみ認められています。
マイナンバーを保管する必要がなくなった場合は廃棄・削除しなければなりません。廃棄を確実に行うため、該当書類を事業年度ごとにファイリングするなどして、廃棄すべき時期が分りやすいようにしておきましょう。
「支払を受ける者」としての立場
個人事業主が自分の確定申告以外でマイナンバーを使う場合とは…?キーワードは「支払調書」。報酬をもらう側と支払う側、2つの立場で関わってきます。1. 支払調書とは
支払調書(しはらいちょうしょ)とは、特定の支払をした事業者(法人または個人事業主)が、その支払の明細を書いて税務署に提出する書類のことをいいます。支払調書は、その名の通り支払いを調べる書類で、税務署側で、支払いを受けた者がきちんと申告しているかどうか照らし合わせるために利用されます。支払調書には様々な種類がありますが、個人事業主に最も関係深いのは、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」でしょう。(1)報酬の支払いを受ける場合
事業者から報酬の支払いを受ける個人事業主の場合、前年分の支払額と天引き税額が書かれた書類が取引先から送られてきて、それを元に確定申告をする方も多いのではないでしょうか。この書類が支払調書です。
※厳密には、これは“支払調書”ではなく、取引先事業者からの任意の“支払通知書”です。支払調書とは本来、支払者から税務署に出す書類で、支払先の支払調書提出は義務ではないからです。しかし慣習上、支払調書と同一の書式で送っている事業者が多いようです。
確定申告の際には間違えないように注意しましょう。
国税庁のサイトも参考にしておくと良いですよ!
「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を提出しなければならない方は、外交員報酬、税理士報酬など所得税法第204条第1項各号並びに所得税法第174条第10号及び租税特別措置法第41条の20に規定されている報酬、料金、契約金及び賞金の支払をする方です。
「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲は、次のようになっています。(1) 外交員、集金人、電力量計の検針人及びプロボクサー等の報酬、料金、バー、キャバレー等のホステス等の報酬、料金、広告宣伝のための賞金については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの
(2) 馬主に支払う競馬の賞金については、その年中の1回の支払賞金額が75万円を超えるものの支払いを受けた者に係るその年中の全ての支払金額
(3) プロ野球の選手などに支払う報酬、契約金については、その年中の同一人に対する支払金額の合計額が5万円を超えるもの
(4) 弁護士や税理士等に対する報酬、作家や画家に対する原稿料や画料、講演料等については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が5万円を超えるもの
(5) 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの