2016年1月から施行されるマイナンバー制度ですが、これに似たような制度が外国では既に実施されています。他国を例に挙げ、マイナンバー制度の問題点について解説していきます。
マイナンバーってそもそも何?
マイナンバーは、住民票を有する全ての方に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるものです。
マイナンバーは、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を実現する社会基盤であり、期待される効果としては、大きく3つあげられます。
1つめは、所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止するとともに、本当に困っている方にきめ細かな支援を行えるようになります。(公平・公正な社会の実現)2つめは、添付書類の削減など、行政手続が簡素化され、国民の負担が軽減されます。また、行政機関が持っている自分の情報を確認したり、行政機関から様々なサービスのお知らせを受け取ったりできるようになります。(国民の利便性の向上)
3つめは、行政機関や地方公共団体などで、様々な情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減されます。複数の業務の間での連携が進み、作業の重複などの無駄が削減されるようになります。(行政の効率化)
アメリカでは
SSN は社会保障番号の略称です。”Social Security Number” の頭文字をとったものですね。アメリカではこの番号が非常に積極的に使われています。例えば、クレジットカードを作るときなどにも、この番号無しでは作ることができません。アメリカで生きるうえでは必需品と言っても良いようなものです。
つまり、色々な申告で番号を書く必要があるという点は日米共通ですが、それを使って管理がきるかどうかという部分に大きな違いがあるようですね。日本の場合は、民間はこれができません。法律で禁止されています。また、公的機関でも、法律で決められた範囲でしか使うことが出来ません。
もともと社会保障分野において個人を特定するための番号であるが、銀行口座やクレジットカードを作成する際にも必要になるなど、官民に共通する共通番号となっている。税の確定申告にも用いられている。社会保障や税はともかくとして、銀行口座やクレジットカードを作成する際にも必要ということです。さらには、このレポートにはありませんが、ローンを組むときも電話を引くときも必要みたいですね。
本当に、ありとあらゆるもので利用される番号です。
アメリカではSSNを利用した成り済まし問題が深刻に
アメリカでは社会保障番号を利用したなりすまし犯罪が横行し、深刻な社会問題となっているそうです。2015年5月には、社会保障番号などの個人情報を入手した何者かが、本人になりすまして確定申告を行った結果、1万3千人分もの税の還付金がだまし取られたという事件が明らかになりました。この年に限らず、同様の事件は過去から後を絶ちません。このような犯罪の他にも、本人になりすまして銀行口座を開設したり、クレジットカードを作成したりするという犯罪が横行しています。
韓国では
お隣の韓国では数十年前から「住民登録番号制度」という制度が導入されており、住民登録番号によって個人を識別する仕組みができています。韓国では、行政機関だけではなく、民間企業においても個人の識別に住民登録番号を利用することができます。そのため、多くの機関が住民登録番号の管理に携わっており、その分漏えいリスクが高くなっているという問題点があります。
2012年から2013年にかけてクレジットカード3社から顧客の住民登録番号が流出するという事故がありました。流出させた当事者は、クレジットカード会社のシステム構築に携わっていたセキュリティ会社の社員です。この社員が住民登録番号を含む顧客の個人情報をUSBメモリーにコピーして持ち出し、ブローカーに売却、さらにそのブローカーがマーケティング会社などに売却したというものです。このような内部からの住民登録番号漏えい事故に他にも、外部からハッキングを受けることにより住民登録番号が流出するという事故も相次いでいます。住民登録番号の利用が広まり利便性が上がるほど、個人情報流出による犯罪リスクが高まることを示していると言えるでしょう。
マイナンバーを悪用されないためにはどうしたらいいの?
マイナンバーの控えをとられていないか民間サービスを受ける場合、不必要にマイナンバーの控えをとられていないか注意しましょう。
民間企業では、マイナンバーを使用することはできないことになっています。
それでも言葉巧みに聞き出す手口があるので「どうして必要なのか」をしつこく聞きましょう。
もし、不審な点があればきっぱりと断りましょう。
顔写真をむやみにインターネット上にアップしないSNSは身近なコミュニティーツールとして定着していますが、マイナンバー制度が導入されることで顔写真もひとつの個人情報となります。
むやみに自分の顔写真をアップするのは控えたほうがよさそうです。
紛失したらマイナンバーカードを紛失してしまった場合は、悪用を防ぐためにもできるだけ早く住んでいる市町村長に届け出て再交付の申請をしましょう。
しっかりとセキュリティを施し、従業員にも呼びかけをしましょう!