【認知症の高齢者とマイナンバー】介護事業者が気を付けるべきポイント

マイナンバーは住民票を登録しているすべての人に書留郵送で通知されてきます。それは新生児であっても、高齢者であっても同じこと。認知症の高齢者が持つマイナンバーを介護事業者は慎重に扱わなければいけません。

施設の認知症患者さん、家族や後見人がいない場合も・・・

認知症患者さんの中には家族がいない場合や、後見人を設定していない人もいるでしょう。
これから高齢化社会が進む日本において、このような状況下の認知症患者さんがますます増えていくと予想できますね。
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本来後見人を必要とする状態でありながら後見人が居ない、場合によっては家族すらいないという介護サービスの利用者に対し、マイナンバーの通知カードが直接送られてきたときにどうなるかという問題は、全国民に配布するという建前を選択した以上、国としても当然考えておかなければならないことであるはずです。

施設にいる認知症患者(高齢者)は、住民票に登録した住所が施設である場合が多い

認知症患者さんにかかわらず施設入居者は、住民票を施設の住所にしていることも多いです。よってマイナンバーを記載した通知カードが施設に届くことが予想されます。
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市町村から、住民票の住所にマイナンバーの通知が送られます。外国籍でも住民票のある方は対象となります。
住民票の住所と異なるところにお住まいの方は、お住まいの市町村に住民票を移してください。
福祉・介護施設(入所型施設)で対応しなくてはならないのが、
職員さんのもそうですが、利用者さんのマイナンバー。

住民票が施設所在地にある人は、原則施設に届きます。

「すべての人」ということは認知症の人、入院中の人、老人ホーム入居中の人も、もちろん対象。
カードは住民票のある住所に送られてきますから、老人ホームに住民票をおいている入居者であれば、カードはそのホームに届きます。
つまり、老人ホームや介護施設には、入居者のマイナンバーカードが、大量に届く可能性があるのです。入居者が認知症だったり、要介護度が重い場合、カードの扱いに困ってしまう施設があるかもしれません。

認知症患者さんのマイナンバーが郵送されてきたら、介護事業者は未開封で管理すべき

認知症患者さんのマイナンバーは受け取れるようですが、未開封で管理した方が良いと考えている介護施設・介護事業者が多いようです。
開封してしまうと個人情報が記載されたマイナンバーがどのように扱われてしまうのか分からないからと言う理由からです。
後見人がいる場合、家族と連絡が取れる場合には、そちらに管理を任せましょう。
認知症の人にマイナンバーが届いたら…介護事業者や家族は、どう対応する? | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」 (36334)

「住民票を病院に置いている患者については病院宛てにカードが送られることになるが、それを病院が代理受領してよいのか」という質問を受けた
利用者の大抵は住民票を施設に移すため、通知カードは施設に直送されます。施設職員としては、利用者宛てに送られた通知カードを代わりに受領・保管して良いのかという問題に直面することになります。
利用者が認知症の場合は、委任状にサインをもらい代理人として受領することができません。家族の許可を得れば安心材料にはなるが、世帯分離をしていれば「他人」であり、後見人に就任していない以上法的権限はないため悩ましいところです。
次のやり取りは「認知症」の方への対応について、国会でのやり取りである。
・政府答弁「信頼できる施設の人など代理人に交付が可能」
・質問議員「信頼できる施設の方とはどういう条件の人か」
・政府答弁「本人が同意した人」
・質問議員「やいや、ちょっと待ってくださいよ。認知症の方ですよ」

対応をせまられる施設や自治体の現場は、大変であろうと思う。

正常な判断ができない認知症患者さんのマイナンバーは狙われやすい!施設で適切な管理を。

特設ページ・認知症者とマイナンバーについてのコラム | 介護・福祉系 法律事務所 おかげさま | 外岡 潤 弁護士 (36356)

一人暮らしの高齢者や認知症のある方は自宅に書類が届いてもそれがマイナンバー制度にまつわるものだと理解できない可能性があります。自分一人で役所まで足を運ぶのさえ難しいという方もいるでしょう。
また、こうした知識不足の高齢者を狙った詐欺被害が増加する可能性もあります。
危険なのは、マイナンバーが認知症高齢者を喰いものにしようとする詐欺集団などに渡ってしまうことだ。

「なりすまし」のリスクは、すでに始まっている。

帯広市内の社会福祉法人帯広太陽福祉会が運営する特別養護老人ホーム太陽園(大正町西1線、杉野全由施設長)では、定員100人のうち、同施設に住民票がある29人全員に通知カードが送付された。25人には家族、残り4人には後見人がおり、このうち2人は家族に渡したという。同会の谷正三常務理事は「他の通知カードは未開封のまま金庫に保管してある」と言い、杉野施設長は「できるだけ家族や後見人に渡していきたい」と話している。

施設利用者のマイナンバーカードは一括申請しない方がよいかも・・・

一括申請でマイナンバーカードも作れるようになったけど、認知症患者さんのマイナンバーカードは作らない方が良いかもしれません。
マイナンバーカードにはICチップ付きで個人情報などが搭載される予定なので、自分で保管・管理できない場合には通知カードのままで保管しましょう。
マイナンバー「個人番号カード」、職場で一括申請可能に - ITmedia エンタープライズ (36371)

企業や学校等で個人番号カード交付申請書を取りまとめ、個人番号カードの申請を一括して行うことができます。また、市町村と調整のうえ、企業や学校等に市町村職員が出向き、本人確認を行い一括して申請を受け付けることができます。
マイナンバー制度の説明会では民生委員や近所に高齢者が住んでいる人や施設の人から、どうしたらいいかという質問が多くあった。悪用される可能性もあるので、自分で管理できない場合は個人番号カードを作らないほうがよいと考えています

国も認知症患者さんに対して、マイナンバーの記載を免除する方針を固めた

マイナンバー制度に関して厚生労働省は15日、全国の自治体や施設の運営事業者、関連団体に個人番号の取り扱いを定める通知を出した。認知症が進むなどして、介護保険サービスの受給申請時などに自分で個人番号を書類に記入するのが難しく、代理人もいない高齢者については記入の免除を認めた。

 厚労省は原則として申請書類への個人番号の記載を求めており、必要な場合には自治体職員が個人番号を住民基本台帳ネットワークで調べて代わりに記入できるとした。来年1月から介護保険に関する多くの申請書類に記入欄が設けられることから、自治体職員やケアマネジャーらに周知するのが狙い。

高齢化社会に向けて、認知症などにも対応した制度を充実させていくべき

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これから超高齢化社会を迎えていくであろう日本において、自分で正常な判断ができない認知症患者さんの割合もますます増えていくと考えられます。
マイナンバーの取り扱いについては慎重にしていきたいですね。
介護事業者にとって厳しい罰則も定められているマイナンバーの管理は負担になってしまいます。残念ながら亡くなってしまう認知症患者さんのマイナンバーの管理なども含めて、国でしっかりと決めて行かなければなりません。

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