マイナンバー開始後の年末調整の変更点と注意点

今年の年末調整ではマイナンバーの記載が必要になります。昨年とどこが違うのか、変更点と注意点を紹介します。

マイナンバーはいつから必要?

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税分野での利用は、所得税については平成28年分の申告書から、法人税については平成28年1月以降に開始する事業年度に係る申告書から、法定調書については平成28年1月以降の金銭等の支払等に係るものから、申請書等については平成28年1月以降に提出すべきものから個人番号・法人番号の記載が開始されることになります。
つまり、平成27年の書類にはマイナンバー記載は必要ないということです。
だから今年の年末調整にはマイナンバーは必要ないと思いがちですが、それは違います。

今年の年末調整にもマイナンバーは必要です

上記の文章を読まれた方は、「マイナンバーを入れた源泉徴収票は平成28年1月からの給与に対するものだから、今年の年末調整は関係ないじゃない」と思われたのではないでしょうか。

しかし、違うのです。

平成28年1月に在職している従業員が年末まで働いているとは限りません。1月や2月の間に退職し、その後、会社からは連絡が取れない状態になってしまったらどうなるでしょうか。平成29年1月に源泉徴収票や給与支払報告書を作成する際に困るに違いありません。平成27年の年末調整時に提出してもらう平成28年分扶養控除等申告書にマイナンバーを記入してもらわないといけないのです。

マイナンバーが必要になる書類は?

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●給与所得者の扶養控除等(異動)申告書=自分と扶養家族のマイナンバー記載が必要。

●配偶者特別控除申告書=マイナンバー記載が必要。

●保険料控除申告書=マイナンバー記載が必要。

●住宅借入金等特別控除申告書=マイナンバー記載は不要。実務上はこれまでと変更なし。

マイナンバー導入後の年末調整での注意点

◆本人確認の方法

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マイナンバーを従業員から取得する際には必ず本人確認(=番号確認+身元確認)が必要です。

これはマイナンバーが記載されている個人番号カード(番号確認+身元確認)や、通知カード(番号確認)と運転免許証など(身元確認)を併用することで行います。年末調整書類の場合もこれは同じですが、扶養控除等申告書の提出の際の扶養親族の本人確認は、扶養者である従業員が行うこととされています。

◆事業者の監督責任

マイナンバー関連事務を委託業者に委託する時、事業者には委託先が適切にマイナンバーを取り扱っているかを監督する義務があります。これと同じように「扶養控除等申告書に記載するマイナンバーを扶養親族から取得し、記載する」というマイナンバー関連事務を事業者が従業員に委託した、と考えるとマイナンバー漏えいの責任は事業者にあることになるのです。しかし、マイナンバー制度上ではこの時の事業者と従業員の関係は「委託」には当たりません。したがって監督義務も生じない、と考えます。

◆マイナンバーの利用目的

マイナンバーを利用する際は必ず本人に対して利用目的を明示しておかなくてはいけません。また明示した利用目的の範囲から逸脱しないようにシステムやルール面で相応の対策をとる必要もあります。

◆マイナンバーの管理方法

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それぞれの中小企業の実態に即した安全管理措置をとればよいわけですが、どこまでやればよいのかという目安を決めることは難しいものがあります。

例えば小規模な企業でパソコン1台にマイナンバーを登録、保管している場合、施錠できる部屋を新たに作りそこにパソコンを設置し、その部屋の入退室まで管理しなければならないかというと、必ずしもそこまでの措置が求められているわけではありません。要は、マイナンバーの漏洩や紛失を防ぐために、その企業規模に応じてできる安全管理措置を取ることが大事です。

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