マイナンバー制度を導入するために導入された「番号法」。マイナンバーはとても貴重な個人情報なだけに厳しい罰則が設けられています。企業の皆さん、まさかの事態が起こらないよう準備ができていますか?
個人情報保護法とは
氏名、生年月日、性別、住所など個人を特定し得る情報を扱う企業・団体、自治体などに対して、適正な取り扱い方法などを定めた法律。2005年4月に全面施行された。
相次ぐ個人情報の不正利用や情報漏えいに対する社会的不安を軽減し、個人の権利と利益を保護するのが狙い。個人情報の適正な管理、利用目的の明確化、不正取得の禁止などが定められているほか、本人による情報の開示、訂正、削除等の権利行使も認めている。
違反した場合は行政命令の対象となり、これに従わない場合には罰則規定(6カ月以下の懲役か、30万円以下の罰金)がある。
番号法とは
国民一人ひとりに番号を割り振り、社会保障や納税に関する情報を一元的に管理する「共通番号(マイナンバー)制度」を導入するための法律。2013年5月24日に国会で成立した。16年1月から番号の利用がスタートする。正式名称は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」。年金や納税など異なる分野の個人情報を照合できるようにし、行政の効率化や公正な給付と負担を実現し、手続きの簡素化による国民の負担軽減を図ることなどが目的。自治体は、申請者に対して、氏名や顔写真、個人番号などが記載された個人番号カードを交付する。番号の利用範囲は、社会保障と税、災害対策の分野だが、政府は18年秋をめどに番号の利用拡大を検討する方針だ。
また、個人情報の漏洩(ろうえい)や不正利用を監視する第三者委員会を設け、違反者には4年以下の懲役、もしくは200万円以下の罰金を科す。
番号法と個人情報保護法の違い
特定個人情報も個人情報の一部なので、原則として個人情報保護法が適用されます。さらに特定個人情報は、マイナンバーによって名寄せなどが行われるリスクがあることから、個人情報保護法よりも厳しい保護措置を番号法で上乗せしています。また、番号法の保護措置は、個人情報保護法が適用されない小規模な事業者にも適用されます。
もし不正があったら
個人番号の不正利用などがあった場合、下記のような法定刑があります。1. 正当な理由なく特定個人情報ファイルを提供した場合
4年以下の懲役か200万円以下の罰金又はこれらの併科2. 不正利益目的で個人番号を提供・盗用・漏えいした場合
3年以下の懲役か150万円以下の罰金又はこれらの併科3. 人をあざむく、暴行、施設への侵入など不正行為で個人番号を取得した場合
3年以下の懲役又は150万円以下の罰金4. 偽りなどの不正手段により個人番号カードを取得した場合
6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金この他、国や地方公共団体,会社,個人事業主など個人番号を取り扱う機関が情報漏えいした場合や,特定個人情報保護委員会の検査拒否、虚偽申告などの場合にも罰則があります。マイナンバーについての罰則は、個人情報保護法など他の関係法律の罰則よりも厳しいものとなっています。
覚えておきたい「両罰規定」
両罰規定とは、違法行為をした従業員本人や管理を委託しただけでなく、雇用や委託している企業側にも同額の罰金刑が科せられます。つまり、経営者にとっては自分は違法行為をしていなくても、悪質な社員にマイナンバーの管理を任せたり、悪質な社員がいるマイナンバー管理代行会社などに発注したがために、管理者責任として罰金を支払わされる可能性があるということです。
企業が取るべき罰則への対応
マイナンバー法違反を防ぐために必要なのは、「情報の周知」と「社内ルールの徹底」です。まずはすべての従業員にマイナンバー制度の概要と、違反すると重い罰則が科されることを伝えましょう。その上で一定の社内ルールを設け、マイナンバーの安全管理措置を徹底することが大切です。
また、派遣社員などへの周知徹底も必要です。例えば、人事データを取り扱う派遣社員が派遣先の従業員のマイナンバーを漏えいさせた場合、雇用契約を結んでいる「派遣元企業」だけでなく、就業先である「派遣先企業」も法的な責任が問われる可能性があります。
まとめ
企業の信用に大きくダメージを与えます。
取り扱う責任者はもちろん、
従業員一人一人にもマイナンバーについて周知させておくことが必要です。
マイナンバーの罰則は個人情報保護法より厳しいですから、
不正が起こらないよう徹底しておきましょう。