退職社員のマイナンバーを破棄するべきタイミング、また破棄の方法とは?

会社は退職社員のマイナンバーを、責任を持って処分すべきだと定められています。破棄するべきタイミングと、その破棄方法について、詳しくみていきましょう。

会社にはマイナンバーを破棄する義務がある!

管理や保管ばかりが気にされがちなマイナンバーですが、実はマイナンバーの管理は、破棄、削除までが義務になっています。もちろん、マイナンバーなど個人情報の書かれた紙を丸めてゴミ箱にぽいするのは絶対にだめです。では使用しなくなったマイナンバーをどのように破棄すべきなのでしょうか。調べてみましょう。
マイナンバー法で限定的に明記された場合(注)を除き、特定個人情報を収集又は保管することはできないため、マイナンバー関係事務を処理する必要がなくなった場合で、所管法令において定められている保存期間(下記一覧表を参照)を経過した場合には、マイナンバーをできるだけ速やかに廃棄又は削除しなければなりません。
「速やかに」というのは、どれくらいの時間軸のことを指すのでしょうか。ガイドラインは「廃棄が必要となってから廃棄作業を行うまでの期間については、毎年度末に廃棄を行う等、個人番号および特定個人情報の保有に係る安全性および事務の効率化等を勘案し、事業者において判断する」と説明しています。企業は、例えば毎年、決まった時期に棚卸しを行い、不要なマイナンバーを削除・廃棄しなければならないということです。
マイナンバーを廃棄しなければ情報漏洩の可能性がある
マイナンバーには、マイナンバー法で明記された場合を除いて、収集または保管することはできないという制限があります。
そのため、個人番号関係事務を処理する必要がなくなった場合で、法令で定められている保存期間を経過した場合には、マイナンバーをできるだけ速やかに廃棄または削除しなければなりません。
マイナンバーは、保管している限り情報漏洩のリスクがあります。適切な廃棄を行わなければ、情報が漏洩してしまうリスクもなくなりません。
廃棄を行わなければマイナンバー法違反にもなります。もし情報漏洩すれば、罰則が科されることもありますから、企業にとっては大きな問題になります。
このように、マイナンバーを責任もって廃棄するのは企業の義務であり、廃棄を行わなければマイナンバー法違反になります。
 (44722)

社会保障および税に関する手続書類の作成事務を行う必要がなくなりますので、保存期間の経過した書類は破棄または削除しなければなりません。
マイナンバーが記載された書類は、そのままゴミ箱に捨ててはいけません。必ずシュレッターなどで番号がわからないように破棄して下さい。

退職社員のマイナンバーはいつまで保存しなければならない??

 (44785)

所得税法施行規則76条の3より・・・保存期間は7年!!

【補足】給与所得者の扶養控除等申告書につきましては、所得税法施行規則76条の3により、当該申告書の提出期限(毎年最初に給与等の支払いを受ける日の前日まで)の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間の保存期間が設定されております。

ちなみに保存期間前に廃棄しますと、所得税法違反となります。

 なお、会社によっては、訴訟などの対応のために、個人情報を保管し続けたいという場合があります。このようなときは、そのマイナンバー部分を復元できない程度にマスキングや削除するなどして「特定個人情報」から「個人情報」に変換することにより、保管し続けることは可能です。

もし書類自体を廃棄したくなければ、マイナンバーの欄をマスキングする必要があります。

データを保管している場合には、削除システムを用意しておきましょう。

源泉徴収票の保存期限は??

源泉徴収票の保存期限も同じく通常7年です。

これは国税通則法70条に偽りその他不正の行為がある場合は7年遡及できる記載があることと、と74条の2に、質問検査権(要は税務調査ですね)を行使される相手として、源泉徴収票を提出する義務のある者が規定されているからです。下記に抜粋して引用します。

(国税通則法70条)

 4  偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、若しくはその全部若しくは一部の税額の還付を受けた国税についての更正決定等

又は偽りその他不正の行為により当該課税期間において生じた純損失等の金額が過大にあるものとする納税申告書を提出していた場合における当該申告書に記載された当該純損失等の金額についての更正(前2項の規定の適用を受ける法人税に係る純損失等の金額に係るものを除く。) は、

第1項又は前項の規定にかかわらず、第1項各号に掲げる更正決定等の区分に応じ、当該各号に定める期限又は日から7年を経過する日まで、することができる。

通常の保存期限は7年ということを覚えておきましょう。

ガイドラインでは、個人番号が記載された書類や電磁的記録について、「保存期間経過後における廃棄・削除を前提とした保管体制を取ることが望ましい」とアドバイスしています。
書類の場合は棚を分けておいたり、電子ファイルの場合にはフォルダを分けるなどしておくといいですね。

廃棄した記録を残さなければならない?

削除したという記録を残すのは義務!!

マイナンバーを廃棄するときには、書類をシュレッダーで処分したり、データを削除したりすれば良いわけではなく、廃棄の記録を残すことが義務付けられています。いつ、どの書類やデータを削除したのかをわかるようにしておきましょう。

マイナンバーが記載された書類やデータの廃棄については、ほかの重要書類、重要データ以上に慎重にならなければなりません。廃棄については手順化しないとなかなか業務にとり込むことが難しいですから、あらかじめマニュアルを作り、確実に廃棄が行われるよう徹底しましょう。

マイナンバーについては、その取扱いごとに何をしたかという記録を残すのが大切なんですね。マイナンバーを取得した記録、マイナンバーを閲覧した記録、そして削除した記録に至るまでしっかりと残しておきましょう。

書類を破棄するときの注意!

マイナンバーを記載した書類を廃棄するときに、ゴミ箱に捨ててしまうと、情報漏洩のリスクがあります。マイナンバーを含む情報が漏洩した場合には、通常の個人情報の漏洩より重い罰則が定められていますから、厳重に注意しておかなければいけません。

できるだけ細かく細断できるシュレッダーがおすすめ

マイナンバー制度開始後は、これまで以上にシュレッダーの重要性が高まるために、シュレッダーを選ぶときにも慎重になるべきでしょう。特にマイナンバー専用のシュレッダーというものはありませんが、できるだけ文字が細かく切れる=セキュリティ性に優れたシュレッダーを選ぶのが安心です。

シュレッダーは、細断方式から、

「ストレートカット」、
「クロスカット」、
「マイクロカット(マイクロシュレッド)」といった種類に分かれます。

このうちもっとも細かい紙片に細断できるのが、マイクロカットです。マイナンバーを取り扱う企業では、マイクロカットタイプを利用すると良いでしょう。

シュレッダーにも色々な種類があるみたいです。一番良いものを選びたいですね。

パソコンデータを削除するときの注意!

パソコンの廃棄時のハードディスク上のデータ消去に関するご注意
パソコンは、オフィスや家庭などで、いろいろな用途に使われるようになってきています。これらのパソコンの中のハードディスクという記憶装置に、お客様の重要なデータが記録されています。 したがって、そのパソコンを廃棄するときには、これらの重要なデータを消去するということが必要です。
ところが、このハードディスク内に書き込まれたデータを消去するというのは、それほど簡単ではありません。

PCデータの場合、削除操作だけでは不十分!!

① データを「ごみ箱」に捨てる
②「削除」操作を行う
③「ごみ箱を空にする」コマンドを使って消す
④ ソフトで初期化(フォーマット)する
⑤ 付属のリカバリーCDを使い、工場出荷状態に戻す
などの作業を行うと思います。

①の「ごみ箱」にデータを捨てた場合は、OSのもとでファイルの復元が可能です。更に②~⑤の操作をしても、ハードディスク内に記録されたデータのファイル管理情報が変更されるだけで、実際はデータが見えなくなっているだけの場合があります。これらのデータも復元が可能です。
つまり、一見データが消去されたように見えますが、WindowsなどのOSのもとで、それらのデータを呼び出す処理ができなくなっただけで、本来のデータは残っているという状態にあるのです。
したがいまして、特殊なデータ回復のための特殊なソフトウェアを利用すれば、これらのデータを読みとることが可能な場合があります。このため、悪意のある人により、このパソコンのハードディスク内の重要なデータが読みとられ、予期しない用途に利用される恐れがあります。

パソコンデータの場合、パソコンに詳しくない人が、データを消したと思っていても、パソコンに詳しい人にかかれば簡単にデータ復元ができてしまうことが多々あるようです。
悪意を持って、復元専用のソフトを作る人もいますし、誰かが復元したデータを、そのデータによって利益を得る第3者に売り渡すことがあります。パソコンデータについてはむずかしいことも多く、慎重に取り扱わないといけませんね。
データを復元できないように完全に削除しなければなりません。
しかし削除は簡単にはできないので、たいへんですよね。会社内に一人はパソコンに詳しく信用できる人がいれば良いですね。
(1)パソコンとHDDが稼働する場合・専用ソフトにてデータ消去
・専用装置にてデータ消去
・HDDを物理的に破壊
(2)パソコン本体は稼働しないが、HDDは稼働する場合・他の稼働可能なパソコンにHDDを接続して専用ソフト にてデータ消去
・専用装置にてデータ消去
・HDDを物理的に破壊
(3)HDDが稼働しない場合・専用装置にてデータ消去
・HDDを物理的に破壊
 (44759)

おまけ

<特定個人情報の適正な取り扱いに関するガイドライン>記載事項のルールについて

本ガイドラインの中で、「しなければならない」及び「してはならない」と記述している事項については、これらに従わなかった場合、法令違反と判断される可能性がある。

一方、「望ましい」と記述している事項については、これに従わなかったことをもって直ちに法令違反と判断されることはないが、番号法の趣旨を踏まえ、事業者の特性や規模に応じ可能な限り対応すること
が望まれるものである

しなければならない、と記載されていることを行わない場合、法令違反になってしまうのです!!

マイナンバーは取得した時から完全に破棄してしまうまで、きちんと管理することを求められています。
その際にはどういう作業を行ったかの記録がとても大事になってきます。
パソコンなどでデータを削除する場合、そのデータが復元されてしまうという危険も考慮に入れなければなりません。初めはややこしい手続きが満載ですが、マイナンバーの扱いをルーティンとして周知させ、法令違反になってしまわないよう強めましょう。もう始まってしまったマイナンバー。その取扱いには、十分注意しておきたいですね。

あなたにオススメのコンテンツ



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする