平成29年度より消費税は増税されそれに伴い軽減税率が導入される見込みです。現状、マイナンバーカードをレジで提示するなど使い勝手が悪いことから評判の悪い同制度ですが、中小企業のIT化が促進されるきっかけにはなるかもしれません。
消費税増税に伴って軽減税率が導入されます!
「新・三本の矢」の一矢である「安心につながる社会保障」を実現するため、 「社会保障と税の一体改革」を確実に実施することが最重要課題となる。その一環 として、社会保障の充実・強化を実現するため、消費税率 10%への引き上げを平 成 29 年4月に確実に実施する。その際、税制抜本改革法第7条を踏まえ、低所得 者への配慮として、平成 29 年4月に軽減税率制度を導入する。
(3)対象品目及び適用税率 軽減税率の対象品目は、
1 酒類及び外食を除く飲食料品
2 定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞
とし、適用税率は8%(国・地方合計)とする。
上記は平成28年度税制改正大綱からの引用になります。税制改正大綱に記載されているということでまず間違いなく実行されるのではないでしょうか。
軽減税率にマイナンバー制度を利用する案が持ち上がっています!
2017年4月に消費税率が現行の8%から10%に引き上げられるのに合わせて導入される、酒を除く「飲食料品」への軽減税率に、国民全員に番号を割り振るマイナンバー制度を活用する案が浮上した。欧州などの軽減税率は、買い物時に対象品目に低い税率が適用される仕組み。それとは異なり、たとえば消費者が1000円の飲食料品を買うと、一たんは10%の消費税を含む1100円を支払うが、そのうちの2%分(軽減後の税率を8%と仮定した場合)に当たる20円が後日還付される仕組みだ。
軽減税率の還付制度(案)は、財務省がまとめた。麻生太郎副総理・財務相は2015年9月8日、閣議後の記者会見で飲食料品などへの軽減税率をめぐり、「われわれとしては最終的に年度末なり年末なり、(負担増分が)戻ってくる還付方式をやる」と、消費税の負担軽減分を後日、消費者に還付する仕組みの導入を検討していることを明らかにした。その還付方法に、2016年1月から運用がはじまる、税と社会保障のマイナンバー(共通番号)制度を活用しようというのだ。
麻生太郎副総理・財務相によると一旦徴収されたのち還付される仕組みを考えているようです。
現状たくさんの異論が出ている軽減税率のマイナンバー活用
via up.gc-img.net
このやり方に対してはあちこちから異論が出ています。マイナンバーカードにはすべての買い物が記載されてしまうため、プライバシーの観点から一部の人は利用しないのではないかとの指摘があります。
また、マイナンバーカードを忘れてしまった場合には、後日、対応してもらうことは難しいでしょう。マイナンバーカードを整備するためには高額のシステム費用がかかり、財政上の負担となることも懸念されているようです。
消費者にとっては個人情報漏洩のリスクが高まり、企業にとってはまたシステム整備に費用を負担することになることになるということで多方面から批判されています。
しかし中小企業のIT化が促進されるきっかけにはなる?
軽減税率が導入されたら、システム化しないと対応できない。どういう例外が用意されるのかにもよりますが、しっかり運用するには、かなりの数の会社でシステム化する必要が出てくるでしょうね。それから、10年先にはマイナンバー制度と企業ナンバー制度の運用が確立するでしょう。イメージとしては、資金の動きなどがすべてみえるという感じです。みせたくないこともあるかもしれませんが、そうなってくると透明性を高くしたほうが対応が楽になります。ごまかすのは、無駄な作業になりますから。
同様に、中小企業の生産性向上においては、ITの活用によって透明性を高くして、無駄をなくしたほうが、結果として多くのメリットが出ると理解される時代になるでしょう。マイナンバーのシステムは、そういうことも連想させます。
──少しずつそうなってきていると実感されているのでしょうか。大塚 今はわかりません。10年後です。たぶん、意識が変わってくるでしょうね。ITを活用しないでなんとかするよりも、ITを利用して普通にやったほうがいいというように意識が変わるでしょう。
現状日本の中小企業はIT化が遅れているとよく言われていますが、軽減税率を始めとするマイナンバーの導入によって変化の兆しが見えるかもしれません。すぐに変わるものではありませんが、10年後には中小企業もITを利用するのが普通になっているのでしょうか。