従業員のマイナンバーを扱う際の対応方法

中小企業がとるべきマイナンバー対策や、従業員からマイナンバーを収集する手順などをまとめました。

2015年10月から国民一人一人にマイナンバーが与えられ、個人情報をその番号で把握することが可能となりました。マイナンバーは情報を特定する上で重要かつ大切な役割を補っていますが、一つ間違えると犯罪にもなりかねません。中小企業も従業員のマイナンバーを扱うため、十分に注意をし、取り扱いには配慮することが重要となります。
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マイナンバー収集対象者への通知

前まで個人番号カードは、社員自らが市区町村の窓口に出向き手続きをしなければなりませんでしたが、平成27年8月20日、企業などが社員に代わり、カードを一括申請することが可能となりました。
企業が従業員の分の個人番号カードを申請する方法は、以下の通りとされています。

2015年10月以降、個人に届いた申請書を従業員から集める。
2016年1月以降、企業が一括申請を申し込む。
企業の所在する市区町村の職員が、事業所まで出向き、本人確認作業をし、配布する。
※企業の所在する市町村の職員が、事業所へ出向き本人確認のうえ一括申請後、個人ごとにカードを書留で郵送する方法も検討中とのこと。

またこの場合、従業員本人だけのカードだけでなく、その家族のカードもあわせて申請・受け取りできるようになることも検討されているため、注目を集めています。

まずは税理士の先生に、「○日までに会社から対象者のマイナンバーをお渡しする」、という基本的なスケジュール設定をし、それにあわせて、具体的な提出方法の周知(マイナンバーのコピーだけ提出すればいいのか、会社所定の書式も提出が必要か、本人確認書類もあわせて提出するかなど)も整理しておいてください。

関連システムの改修と委任先・再委任先の監督等 につきましては、中小企業の場合、比較的受け身で対応すればよい項目です。

中小企業では汎用品の会計ソフトや給与計算ソフトを使っていることが多いと思いますので、基本的には、ソフトウェア会社側が行うシステム改変にあわせて対応すればよいでしょう。

ただし、自社で人事や経理のシステムを開発している場合は、システムの改修が必要となる場合がありますので注意してください。

会社が従業員を代理人にして個人番号を取得する場合

マイナンバーを従業員から提供してもらうためには、まず、事前に利用目的をはっきりと示さなければいけません。これは個人情報保護法の第18条に規定されているルールですので、企業は遵守する必要があります。

また、一度取得したマイナンバーであっても、当初通知した目的とは別の用途に使いたいときは、再度利用目的を追加して通知しなければいけません。たとえば子会社に出向した従業員については、出向先で再度取得し直さなければいけないということです。

二度手間になってしまいますが、マイナンバーは重要な個人情報ですので、運用にあたってはルールの徹底が重要です。

なりすまし等の被害を防ぐため、日本のマイナンバー制度においては番号のみでの本人確認はしない方針となっています。マイナンバーを扱う際には、同時に本人確認もしっかりと行わなければいけません。

個人番号カードを所有している場合にはそれ1枚で本人確認が可能ですが、所有していない場合には複数の身分証明書によって厳格に審査する必要があります。

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すべての中小企業でマイナンバーの取扱は必須

通常事業者が従業員を雇用すると「雇用保険被保険者資格取得届」など社会保険関連の資格取得届などを作成しハローワークや健康保険組合などに提出します。

 また、従業員へ給与を支払っていますので、年間の給与について年末調整により「給与所得の源泉徴収票」や「給与支払報告書」を作成し税務署などに提出します。また、外部の取引先への支払いのうち不動産の使用料などの支払先が個人であれば、支払調書を作成し税務署に提出します。

 2016年1月以降、これらの書類には個人番号欄が追加され、作成する際に従業員本人および扶養親族などのマイナンバーを記載しなければならなくなります。そのために、従業員本人および扶養親族、外部の取引先などのマイナンバーを収集し管理しなければならなくなります。

マイナンバー取得に関するポイント

必ずしも制度開始までに取得する必要はない

マイナンバーは平成28年1月からスタートしますが、必ずしもこれまでに取得しておく必要はありません。民間企業がマイナンバーを取り扱うのは、あくまでも税金や社会保障関連の事務についてのみです。ですから、関連書類を作成・提出するまでに取得しておけば充分に間に合います。

取得業務を外部委託することもできる

従業員の貴重な個人情報を取り扱うわけですから、システム面やセキュリティ面に自信のない企業の場合はマイナンバーの取り扱いが難しいかもしれません。そういった場合は、個人情報関連の業務を外部に委託することも認められています。

もしマイナンバーの提供を拒否されたら

マイナンバーは、極力他人に教えないように推奨されている個人情報です。そのため、もしかすると番号情報の提供を拒む従業員もいるかもしれません。

しかし、税金および社会保障関係の書類はマイナンバーの記載が必須です。法律や条令で定められた義務なのだということを説明し、理解してもらうようにしましょう。

中小企業に認められているマイナンバー安全管理に関する特例措置

国や地方公共団体である行政機関だけでなく、民間事業者も事業規模の大小や取扱い件数を問わず、マイナンバーを適切に管理する義務があります(番号法第12条個人番号利用事務実施者等の責務)。
しかし条件を満たす中小規模事業者(以下中小企業)に該当する場合は特例措置が適用されます。
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社会保障・税ナンバー制度とその対応について

税務: 源泉徴収票等の法定調書に、従業員の個人番号を記載する必要があります。

社会保険: 健康保険組合や年金事務所、ハローワーク等への提出 書類にも、従業員等の個人番号が必要となります。

対取引先の場合、支払調書に、個人番号・法人番号を記載 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書、不動産使用料等の支払調書 等 を記載してください。

対株主・出資者等の場合、支払調書に、個人番号・法人番号を記載します。

そのほかに、対顧客(金融機関のみ)や法人番号(「企業版マイナンバー」)、 国税庁が付番 13桁の数字、この全ての「法人」に付与。