個人取引先からの番号取得は現場担当者が行ってもいい?

企業はマイナンバーを従業員からだけではなく個人の取引先からも収集しなければいけません。マイナンバーを取り扱うことができるのは企業内の限られた事務取扱担当者のみです。直接個人取引先とやりとりする現場担当者が番号の取得を行っても良いのでしょうか。

マイナンバーは社外からも収集する必要があります!

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番号収集の対象範囲に関する例を見てください。

従業員等とその扶養家族(従業員等という範囲には、取締役や監査役なども含む)
デザイナーやサイト運営などを依頼している個人事業主、パート、アルバイト。また、社労士や税理士など個人経営の士業の方
株主配当金を出しているならば個人株主も対象
寮や社宅などを会社名義で借りている場合、家主の方が個人の大家さんであるならば、その方からもマイナンバーの収集が必要となる

安全管理措置は事務取扱担当者を明確にすることを義務付けています!

A 個人番号を取り扱う事務の範囲の明確化
事業者は、個人番号関係事務又は個人番号利用事務の範囲を明確にして
おかなければならない。→ガイドライン第4-1-(1) A参照
B 特定個人情報等の範囲の明確化
事業者は、Aで明確化した事務において取り扱う特定個人情報等の範囲 を明確にしておかなければならない(注)。
(注)特定個人情報等の範囲を明確にするとは、事務において使用される個人番号及 び個人番号と関連付けて管理される個人情報(氏名、生年月日等)の範囲を明確 にすることをいう。
C 事務取扱担当者の明確化
事業者は、Aで明確化した事務に従事する事務取扱担当者を明確にして おかなければならない。
D 基本方針の策定
特定個人情報等の適正な取扱いの確保について組織として取り組むため
に、基本方針を策定することが重要である。→ A参照
E 取扱規程等の策定
事業者は、A~Cで明確化した事務における特定個人情報等の適正な取
扱いを確保するために、取扱規程等を策定しなければならない。→ B参
a 組織体制の整備
安全管理措置を講ずるための組織体制を整備する。
≪手法の例示≫
* 組織体制として整備する項目は、次に掲げるものが挙げられる。

・ 事務における責任者の設置及び責任の明確化
・ 事務取扱担当者の明確化及びその役割の明確化
・ 事務取扱担当者が取り扱う特定個人情報等の範囲の明確化
・ 事務取扱担当者が取扱規程等に違反している事実又は兆候を把握した場
合の責任者への報告連絡体制
・ 情報漏えい等事案の発生又は兆候を把握した場合の従業者から責任者等
への報告連絡体制
・ 特定個人情報等を複数の部署で取り扱う場合の各部署の任務分担及び責
任の明確化
【中小規模事業者における対応方法】
○ 事務取扱担当者が複数いる場合、責任者と事務取扱担当者を区分 することが望ましい。

マイナンバーの安全管理措置においてはマイナンバーを取り扱う事務取扱担当者と作業内容を明確にして、担当者以外が作業に関わらない組織体制を求めています。

人事部以外の人もマイナンバーを収集に当たることもありえます!

 (1)は、社宅や駐車場などを企業に貸している個人、あるいはその斡旋(あっせん)をしている個人から収集するマイナンバーです。事業者は「不動産の使用料等の支払調書」あるいは「不動産の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書」を税務署に対して提出しなければなりません。従って、不動産の賃料の支払先あるいは斡旋手数料の支払先の個人のマイナンバーが必要になるわけです。

 (2)は、社外の弁護士や税理士などの個人事業主、セミナーなどの講師あるいはアドバイザーやコンサルタントとして報酬等を支払っている個人のマイナンバーです。事業者は「報酬、料金、契約金および賞金の支払調書」を税務署に対して発行するために、彼らのマイナンバーを収集しなければなりません。

 なお、支払調書に扶養控除という概念はありませんから、扶養家族のマイナンバーを収集する必要はありません。マイナンバーを記載すべき社会保障関連の帳票はありませんし、提出先は税務当局だけです。

 (1)と(2)の担当部門は、人事部以外であることがほとんどでしょう。社宅や駐車場の賃料支払いは総務部が管理し、社外講師への謝礼は教育訓練部が管理し、弁護士は法務部が管理するといった具合です。しかし、管理している部門は複数あっても支払調書は最終的に経理部が出しているはずです。従って、人事部以外のマイナンバーの所在は経理部で把握するのが良いでしょう。

基本的にマイナンバーの管理は人事部で行うことになると思いますが、社外取引先の個人とのやりとりまで人事部で行うわけにはいきません。ではそれぞれ現場の担当者がマイナンバーの収集を行っても良いのでしょうか。

現場担当者が収集してもOK!

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たとえば出版社や新聞社などでは、専門家からの寄稿には原稿料、取材した専門家には取材謝礼を支払います。この場合、編集者など実務担当者が窓口になるのが一般的です。その担当者が先方の個人番号を入手して、社内の本人確認の担当者に伝えても違法ではありません。

これは8月に改正されたガイドラインのQ&Aでも明記されています。「中心的な事務を行う者、あるいは中心的または定期的な事務を行う者を担当者としてかまわない」というものです。つまり事務取扱担当者を決めておき、その人が中心に取り扱うが、何らかの理由で他の人が受け取った場合、受け取った人が事務取扱担当者でなくてもかまわないのです。

ガイドラインでの記載内容

Q10-2事務取扱担当者には、特定個人情報等を取り扱う事務に従事する全ての者が該当しますか。
A10-2事務取扱担当者は、一般的には、個人番号の取得から廃棄までの事務に従事する全ての者が該当すると考えられます。
ただし、事務取扱担当者に該当するか否かを判断することも重要ですが、当該事務のリスクを適切に検討し、必要かつ適切な安全管理措置を講ずることが重要です。例えば、担う役割に応じて、定期的に発生する事務や中心となる事務を担当する者に対して講ずる安全管理措置と、書類を移送するなど補助的に一部の事務を行う者に対して講ずる安全管理措置とが異なってくることは十分に考えられます。
なお、社内管理上、定期的に発生する事務や中心となる事務を担当する者のみを事務取扱担当者と位置付けることも考えられますが、特定個人情報等の取扱いに関わる事務フロー全体として漏れのない必要かつ適切な安全管理措置を講じていただくことが重要です。(平成27年8月追加)
大切なのはいたずらに担当者を限定するのではなくそれぞれの作業ごとにきちんと安全管理措置を実施することです。さしあたってはマイナンバーを取り扱う業務と担当者を明確にすることから始めましょう。

建設業界の人はちょっと大変か?

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その点、最も大変なのは建設業の関係者でしょう。労働者を雇用せずに自分一人などで営む「一人親方」もいれば、各現場の作業に従事する「日雇い労働者」もいる。現場の日雇い労働者が、毎回、個人番号の通知カードを提示し、身元確認をさせてくれるのか。飲食業界などもパートやアルバイトが多くて個人番号を集めるのが大変ですが、建設業界はより切実です。1日限りで働く外部労働者に対するガイドラインも、現時点(12月2日)では示されていません。
日雇い労働者に関するガイドラインはまだ提示されていないので、なるべく番号を収集するようにしてガイドラインの提示を待ちましょう。

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