2016年1月から、「マイナンバー法」に基づき、税や社会保障、防災の分野で利用が開始されます。今回、従業員が個人番号の提供を拒否した場合、事業者としてはどう対応したらよいかをまとめてみました。
マイナンバーとは
住民票を有する全ての者に1人1つの番号を付し、 社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるもの。
ですが、事業主にとっては、税務処理などで従業員のマイナンバー(個人番号)の提出が義務づけられています。
民間事業者もマイナンバーを取り扱う必要があるの?
Q4-1-1 民間事業者もマイナンバー(個人番号)を取り扱うのですか?A4-1-1 民間事業者でも、従業員やその扶養家族のマイナンバーを取得し、給与所得の源泉徴収票や社会保険の被保険者資格取得届などに記載して、行政機関などに提出する必要があります。また、証券会社や保険会社が作成する支払調書、原稿料の支払調書などにもマイナンバーを記載する必要があります。(2014年6月回答)
■対応が必要な事務はどこから?
税務
源泉徴収票等の法定調書に、従業員の個人番号を記載 2016年分の調書から
(年末調整は2017年1月に提出する源泉徴収票から)
社会保障
健康保険組合や年金事務所、ハローワーク等への提出 書類にも、従業員等の個人番号が必要。
( 雇用保険は2016年1月から、健康保険・厚生年金保険は2017年1月から )
内閣官房の「民間事業者における取扱いに関する質問」ではこのように答えています。
Q4-2-5 税や社会保障の関係書類へのマイナンバー(個人番号)の記載にあたり、事業者は従業員等からマイナンバーを取得する必要がありますが、その際、従業員等がマイナンバーの提供を拒んだ場合、どうすればいいですか?A4-2-5 社会保障や税の決められた書類にマイナンバーを記載することは、法令で定められた義務であることを周知し、提供を求めてください。それでも提供を受けられないときは、書類の提出先の機関の指示に従ってください。
【国税庁】
https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/mynumberinfo/jyoho.htm
【厚労省】
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000063273.html
国税分野におけるFAQでは、このように答えています。
Q2‐10 従業員や講演料等の支払先等から個人番号の提供を受けられない場合、どのように対応すればいいですか。(答)法定調書作成などに際し、個人番号の提供を受けられない場合でも、安易に個人番号を記載しないで書類を提出せず、個人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であることを伝え、提供を求めてください。
それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。
経過等の記録がなければ、個人番号の提供を受けていないのか、あるいは提供を受けたのに紛失したのかが判別できません。特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録をお願いします。
なお、法定調書などの記載対象となっている方全てが個人番号をお持ちとは限らず、そのような場合は個人番号を記載することはできませんので、個人番号の記載がないことをもって、税務署が書類を受理しないということはありません。
従業員がマイナンバーの提示を拒んでいる場合、強制的に提示を求められるのか?
強制はできないが、説明と説得の必要がある。制度の十分な理解を促し、法令で定められた義務であることを説明して提示を求める必要があるが、再三の説得の上でも拒まれた場合には、書類提出先の機関に従う。
すなわち、事業者としては、個人番号の提供を拒んだ従業員に対して、「社会保障や税の決められた書類に個人番号を記載することは、法令で定められた義務である」ということを周知し、従業員に対して個人番号の提供を求める(督促する)ことが必要になります。また、そのことについて記録をしておく必要があります。
従業員には、マイナンバー提供は義務である事を周知していく必要があります。
義務ということなら、提出拒否した場合、罰則はあるの?
Q2-3-3 申告書等を税務署等に提出する際、個人番号・法人番号の記載がない場合や誤りがある場合に罰則の適用はあるのですか。(答)申告書や法定調書等の税務関係書類を税務署等に提出する際に、個人番号・法人番号を記載しなかった場合や誤りがあった場合の罰則規定は、税法上設けられておりませんが、個人番号・法人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務ですので、正確に記載した上で提出をしてください。