マイナンバー制度は日本にとって新制度なため、社会保険手続きには何かと変更点が出てきます。管理システムを見直すとともに、ミスのないように注意していきたいものですね。
1. マイナンバーの社会保険での利用
「マイナンバーがはじまる」ということをなんとなく知ってはいても、具体的な利用例や導入の目的まではよくわからないという方も多いのではないでしょうか。このマイナンバー制度を導入することになったきっかけは、社会保険手続きの複雑さという点があげられます。そのため、マイナンバーを利用することによって、社会保険に関するさまざまな手続きがスムーズになることが期待されています。
これまで、国民の個人情報は、管轄官庁や部署ごとにバラバラに管理されていました。それぞれの内部でやりとりをする分には従来の方法でも大丈夫でしたが、管轄を越えてデータのやりとりをしようとすると、混乱やミスが起きやすいという問題がありました。
マイナンバーは国民ひとりひとりに割り振られ、生涯変わることのない番号です。そのため、マイナンバーにあらゆる社会保険情報を紐付けして管理すれば、データの取り違えや混乱を最小限に抑えることができます。また、それだけ手続きが簡単になりますので時間の短縮にもなりますし、コスト削減にも繋がるというメリットがあります。
会社での社旗保険関連事務は、明らかに今までより手間が省けることになるというわけですね。
via r25.yahoo.co.jp
2. 事業者における社会保険手続きの変更点
従業員は事業者に個人番号を利用目的の範囲内で提供し、提供された事業者は個人番号をもとに健康保険に関する書類を作成します。従業員から個人番号の提供を受け書類作成を行なう事業者を「個人番号関係事務実施者」といい、個人番号関係実施者によって作成された書類は、「個人番号利用事務実施者」が受理します。
個人番号利用事務実施者は書類に記載された個人番号を利用して、個人情報の照会や提供を行ないます。具体的には、健康保険に関する書類は健康保険組合や地方公共団体などによって利用されることになります。
画像を参考にして、記載漏れや記入ミスのないようにしたいものです。
3. 従業員や扶養家族のマイナンバーを取得する際の注意点
従業員の扶養家族と本人確認従業員の扶養家族についても、マイナンバーを取得する以上は本人確認が欠かせません。特に扶養家族というのは、なりすましをされると税収や各種手当てにかかる費用が変わってくるものですから、行政の側としては最も厳重に確認をとりたい部分だといえるでしょう。
ただし、扶養家族の場合には利用目的によってその方法や確認を行う担当者が異なってくることに注意が必要です。
扶養家族以外の家族についてはNG従業員の扶養家族については、所得税や住民税の控除額や社会保険料の算出に影響があります。書類には扶養家族のことを記入する欄もありますから、該当する家族のマイナンバーを取得することは正当な利用だといえるでしょう。
一方で、扶養扱いでない家族の情報までを企業が取得していい理由はありません。
Q4-3-6 従業員の扶養家族のマイナンバー(個人番号)を取得するときは、事業者が扶養家族の本人確認も行わなければならないのでしょうか?
A4-3-6 扶養家族の本人確認は、各制度の中で扶養家族のマイナンバーの提供が誰に義務づけられているのかによって異なります。例えば、税の年末調整では、従業員が、事業主に対してその扶養家族のマイナンバーの提供を行うこととされているため、従業員は個人番号関係事務実施者として、その扶養家族の本人確認を行う必要があります。この場合、事業主が、扶養家族の本人確認を行う必要はありません。
上記政府サイトによると、従業員の扶養家族分の本人確認は、従業員が扶養家族の代理人としてマイナンバーを提供することで済むそうなので、企業側としては助かりますね。
補足 社会保険関係の申請書等にマイナンバーを記載し提出
・雇用保険関係事務手続き(平成28年1月1日提出分~)
例えば、雇用保険被保険者資格取得届・喪失届などに従業員の「マイナンバー」を、雇用保険適用事業所設置届等に「法人番号」を記載することになります。記載時期は、平成28年1月1日提出分からです。
・健康保険・厚生年金保険の手続き(平成29年1月1日提出分~)
例えば、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届、健康保険被扶養者(異動)届、国民年金第3号被保険者届などに従業員等の「マイナンバー」を、新規適用届等に「法人番号」を記載することとなります。記載時期は、雇用保険関係事務より1年遅れの、平成29年1月1日提出分からです。
何年の何月何日提出分かが、微妙に異なる点があるので注意しましょう。