マイナンバー法では、個人情報保護法よりもさらに厳しい罰則規定が設けられています。ここでは、マイナンバー法と個人情報保護法の違いや、具体的な罰則について解説します。
厳しい罰則規定
そのため、たとえ悪意ではなくても重大な過失があった場合には罪に問われる場合もありますので、どのような行為が違反になるのかを理解しておく必要があります。
制度面の保護措置としては、法律に規定があるものを除いて、マイナンバーを含む個人情報を収集したり、保管したりすることを禁止しています。また、特定個人情報保護委員会という第三者機関が、マイナンバーが適切に管理されているか監視・監督を行います。
さらに法律に違反した場合の罰則も、従来より重くなっています。
マイナンバー法と個人情報保護法
「個人情報保護法」は、すべての民間事業者が遵守しなければならないわけではありません。取り扱う個人情報の件数が過去6か月以内に5,000件を超えない小規模な民間事業者は対象外であることが、個人情報保護法の「個人情報取扱事業者」で規定されているからです。さらに個人情報保護法では生存している情報を保護する必要があるとし、死者に関する情報は保護する必要はありませんでした。
つまり個人事業主でも、1人でも従業員がいたり、税理士に経理代行として顧問料を払っていたり、行政書士に書類代行の対価を払った場合、マイナンバーを適切に扱う必要があります。
また、マイナンバー法に違反した際には罰則が科されるので注意しましょう。
マイナンバー法と個人情報保護法の違い
①法律の適用対象が、全企業になった②利用制限が厳しくなった
③本人の承諾は関係なくなった
④安全管理措置の義務の範囲が広がった
⑤委託先についての監督義務が厳しくなった
⑥罰則が強化された
マイナンバー法の法定刑
個人番号の不正利用などがあった場合、下記のような法定刑があります。1. 正当な理由なく特定個人情報ファイルを提供した場合
⇒4年以下の懲役か200万円以下の罰金又はこれらの併科
2. 不正利益目的で個人番号を提供・盗用・漏えいした場合
⇒3年以下の懲役か150万円以下の罰金又はこれらの併科
3. 人をあざむく、暴行、施設への侵入など不正行為で個人番号を取得した場合
⇒3年以下の懲役又は150万円以下の罰金
4. 偽りなどの不正手段により個人番号カードを取得した場合
⇒6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金
Q. マイナンバー法に違反したら、受けるのは罰則だけですか?
特定個人情報保護委員会からの指導、勧告、是正命令を受けたり、同委員会への報告、資料提出、タイ入れ検査を受けることがあります。
特定個人情報保護委員会
特定個人情報保護委員会は、マイナンバー制度(行政手続番号法)の個人番号などの適正な取り扱いを確保するために必要な措置を担う内閣府外局の第三者機関。内閣府設置法に基づく委員会で、公正取引委員会や国家公安委員会と並んで独立性が高い。
Q. マイナンバー法の罰則には、執行猶予がつきますか?
マイナンバー法で最も厳しい懲役刑は、マイナンバー利用事務等に従事する者が正当な理由なく特定個人情報ファイルを提供した場合の4年となっています。
執行猶予が認められるのは
「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金の刑罰を判決で定められた場合」ですので、この場合は実刑もありえます。
Q. 個人だけでなく会社も罰せられるのですか?
両罰規定
業務主たる法人の代表者や従業者,または業務主たる人の代理人や使用人そのほかの従業者が違反行為をした場合に,直接の実行行為者のほかに業務主たる法人または人をも罰する旨の規定。
現在では業務主処罰規定および法人処罰規定のほとんどがこの形式をとる。