マイナンバーは個人に対してだけではなく、法人に対しても付与されます。さて、どんなビジネスチャンスがあるのでしょうか。
法人マイナンバーとは
マイナンバー制度の施行により企業にも「法人番号」が13桁で付与されることになりました。個人のマイナンバーは原則として非公開で用途も限られているのに対して、法人のマイナンバーは原則として公開され利用目的も自由と定められています。つまり法人のマイナンバーは取引の際に業務を大きく効率化するのに活用可能で、新規に営業する先を開拓するのにも役立つ、大きな武器となります。
法人番号とは
法人番号は、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平公正な社会を実現するための社会基盤です。法人には1法人1つの法人番号(13桁)が指定され、登記上の所在地に通知されます。
法人の支店・事業所等や個人事業者、民法上の組合等には指定されません。
法人番号は、マイナンバー(個人番号)とは異なり、利用範囲の制約がなく、どなたでも自由に利用できます。
法人番号は、株式会社などの法人等に指定される13桁の番号で、個人番号(マイナンバー)と異なり、原則として公表され、どなたでも自由に利用できます。
国税庁は、平成25年5月24日に成立(平成25年5月31日公布)した「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(以下「番号法」といいます。)に基づき、法人に対して法人番号を指定し、対象の法人へ通知した後、商号又は名称、本店又は主たる事務所の所在地とともに公表します。
利用制限がされない法人番号
法人番号は利用制限がされていないため、どんな書類に記載しても、どんな使い方をしても大丈夫です。例えば、社員証に番号を記載してもいいですし、請求書に番号を記載するのもOKです。
先日お会いした、特定個人情報保護委員会の委員を務める手塚悟教授は、「名刺に法人番号を記載しておけば、簡単に法人の情報が検索して確認できるようになる。名刺を渡した企業の信用力も上がり、名刺を受取った企業も信用調査等にかけるコストや手間が減る」とおっしゃっていました。その他、レシートに記載したり、HPに記載するなど、企業のアイデア次第でどんなことにも利用できます。今後、法人番号を使った新たなビジネスが多く出てくるかもしれませんね。
マイナンバーで稼ぐか、入り口にするか
新規の顧客を取る場合、マイナンバーそのものの対応で稼ぐのか、それとも別のことで稼ぐのかでマーケティングの組み方が変わってきます。マイナンバーで稼ぐならストレートに行く。セミナーや商談(情報交換、相談)をフロントエンドにマイナンバー対応の契約を取る。
これに対して、マイナンバーよりも自分のコンサルティング契約の方が高額で取れるということであれば、マイナンバー対応の仕事の価格を一気に下げてしまってもいい。
つまり、自分のコンサルの仕事をバックエンドとするために、マイナンバーの仕事をフロントにする、という考え方です。
法人番号には多くのメリットがある
2015年に調査会社の東京商工リサーチは全国の企業を対象に「マイナンバー法のスタートに関するアンケート」を実施したのですが、この中で「法人番号」に対しては「利用方法がわからない」と回答したものが全体の5割も占めました。「知らない」と回答した企業も含めると全体の7割にもなり、法人番号に対する企業の認識の低さを示しています。
このアンケートでは具体的中身についても回答を得ています。
法人番号利用の具体的メリットについては多い順に
「取引先管理の利便性向上・効率化」
「取引先信用情報入手の効率化」
「企業マスタの登録・更新の効率化」を挙げています。
またビジネスチャンスと捉えている企業は全体の2割にとどまるのですが、少ない中の回答では
「新規顧客向け新商品・サービスの提供」
「従来顧客向け新商品・サービスの提供」
「新規顧客向け従来商品・サービスの提供」
「従来顧客向け従来商品・サービスの提供拡大」
「新規市場参入」が挙げられています。
企業は法人番号の活用方法について、まだ手探り状態なのです。
他の企業がまだということは、いち早く活用方法を見つけた企業が有利になることを意味しています。
法人番号をどう活用するかどうかは企業の創意工夫に大きくかかっているのです。