企業が行わなければならない対策とは!?

通知カード配達の大幅な遅れから始まり、今やマイナンバー制度に関する様々なトラブルが起こっています。そんな中、企業はどのような対策を行うのが正解なのでしょうか。

現状手作業で十分なマイナンバー実務

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平成28年1月にはいって従業員の入退社がある場合、入社および退職に関する手続きでマイナンバーが必要となります。従業員の入退社時、すぐにマイナンバーが必要となる手続きを確認しておきましょう。

社会保険関連の手続きでは、入退社時に被保険者資格取得届・喪失届を関係する行政機関に提出します。ただし、健康保険や厚生年金保険でのマイナンバー利用は平成29年1月からとなっており、マイナンバーの利用が平成28年1月から始まるのは雇用保険関連に限定されています。雇用保険では、新たに従業員を雇用する場合は雇用保険被保険者資格取得届が、従業員が退職する場合は雇用保険被保険者資格喪失届が必要となり、[図2]のとおり、それぞれ該当する社員のマイナンバーを記載してハローワークに提出することになります。提出期限は、雇用保険被保険者資格取得届は「被保険者となった日の属する月の翌月10日まで」、雇用保険被保険者資格喪失届は「被保険者でなくなった事実があった日の翌日から起算して10日以内」となっており、退職の場合は提出期限まであまり時間がないことから、退職者からのマイナンバーの取得も含めてスムーズに作業を進めることがポイントとなります。

現状において企業がマイナンバー実務を行うのは、主に中途退職者が発生した場合においてなので、手作業で片付けられる範囲と言えるでしょう。

大量の事務処理が必要なのは年末から!

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マイナンバーを使った大量の事務処理は、2016年末に待ち構えている。従業員が扶養者手当てや保険料控除などを申告して納税額を確定させる「源泉徴収票」など、年度の税務に関わる法定書類の作成だ。

 こうした状況を見越して、「本格的なマイナンバー対策はこれから」という企業が実は多い。

秋頃まで準備期間の猶予がある

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2015年11月11~18日の調査時点での 企業のマイナンバー収集事務の対応状 況を見ると、「対応中で、収集に向けた各 種整備を進めている」が59.2%で最も多 く、「対応はほぼ完了しており、後はマイ ナンバーを収集するだけ」が39.6%と約4 割を占めた[図表1]。 「まだ対応していない」のはわずか1.2% にとどまっており、各社とも2016年1月の 本格運用開始に向けて準備を進めてい ることが分かる。
2015年11月時点でも対応が完了していない企業が6割近くもあり、まだ本格的に利用するシーンがないことを象徴しています。マイナンバー実務において大量の事務処理を行うのは年末からなので逆に言えば秋頃まで猶予があると言えるでしょう。

むしろ今から対策する企業の方が有利?

マイナンバー対策がこれからという企業には、実は有利な面もある。

 2015年夏まで、政府から提供されるマイナンバー対策の情報は不足していた。マイナンバーの情報漏洩には厳しい罰則規定があるだけに、収集した番号の管理には最高水準のセキュリティ対策が必要と考える風潮もあった。

 しかし2015年秋以降は文書による情報やマイナンバー行政に携わる幹部らによる情報発信が充実してきた。政府が求めている現実的なセキュリティ対策のレベル感が見えてきたのだ。

開始にあたって混乱もあったマイナンバー制度ですが、徐々に行政の考えもはっきりしてきており企業も対策に取り組みやすくなてきます。下手に対応を進めた企業より今から対応を進める企業の方が無駄なく実行できて有利に進められるかもしれません。ではどのような対策がベストなのかについて見ていきましょう。

金庫は必ずしも必要ではない!

手法の例示に施錠をあげている個人情報保護委員会のQ&A

Q15-1-4「a 特定個人情報等を取り扱う区域の管理」及び「b 機器及び電子媒体等の盗難等の防止」について、従業員数人程度の事業者における手法の例示を教えてください。
A15-1-4一つの事務室で事務を行っている場合を想定すると、例えば、来客スペースから特定個人情報等に係る書類やパソコンの画面が見えないよう各種の工夫をすることが考えられます。盗難防止については、留守にする際には確実にドアに施錠をする、特定個人情報等を取り扱う機器、電子媒体や個人番号が記載された書類等は、施錠できるキャビネット、引出等に収納し、使用しないときには施錠しておくなど盗まれないように保管することは、他の重要な書類等と同様です。(平成27年8月追加)

内閣官房による解説

Q15-1-4は、「従業員が数人程度の小規模事業者」で、一つの事務室で一貫して事務を行っている事業者を想定している。来客スペースから特定個人情報等に係る書類やパソコンの画面が見えないようにすること、留守にする際には確実にドアを施錠すること、書類や電子媒体は施錠できるキャビネットや引出等に収納し、使用しないときには施錠することなどに注意していただきたい。一部の報道等では、金庫を準備しなくてはならないと書かれているケースがあるが、そうではない。このQ&Aは数人規模の会社で一つの事務室という前提で作成したものだが、大企業においても人事部門や経理部門が源泉徴収票の作成を一つの事務室で行う場合には、同じように考えていただきたい。給与などを取り扱う部署は、もともとそれなりの情報管理を施した事務室や仕組みになっていると思うので、その延長として参考にしていただきたい。

記録もシステムにする必要はない?

ガイドラインはシステムログによる記録を要請しているが…

b 取扱規程等に基づく運用
取扱規程等に基づく運用状況を確認するため、システムログ又は利用 実績を記録する。
≪手法の例示≫
* 記録する項目としては、次に掲げるものが挙げられる。 ・ 特定個人情報ファイルの利用・出力状況の記録
・ 書類・媒体等の持出しの記録
・ 特定個人情報ファイルの削除・廃棄記録
・ 削除・廃棄を委託した場合、これを証明する記録等
・ 特定個人情報ファイルを情報システムで取り扱う場合、事務取扱担当者
の情報システムの利用状況(ログイン実績、アクセスログ等)の記録
【中小規模事業者における対応方法】
○ 特定個人情報等の取扱状況の分かる記録を保存する。

システムでなくてもOK!

委員会事務局総務課で上席政策調査員を務める武本敏氏は、「委員会が求めるのは企業が既に実施している個人情報保護と同じ水準の対策。特別に身構えないでほしい」と訴える。注意が必要なのは、番号を取り扱う担当者を決め、取り扱いのログを正しく管理することだ。

紙かシステムかベストな保管方法を考えよう!

マイナンバーに関連して、特に中小企業の経営者の方と話をすると、「社内のシステムを刷新することを検討しており、コスト的に自社の身の丈を超えた負担になってしまう」という話をよく聞くが、従業員や従業員の家族の人数を考えると、システムではなく紙文書で記録して担当者が施錠保管する方がむしろ安全な場合もあり得る。これも先ほどと同様、重要な情報の取り扱いと、どういう管理方法をとるかのベストミックスの関係で考えるべきである。実際、「ITシステムを導入しなければならない」と思い込んでいるケースもよくある。情報セキュリティの問題であるためITが絡むことは事実だが、紙文書と電子化文書にはそれぞれメリット・デメリットがある。電子化情報のメリットに記載している事項は、情報が漏えいした場合には一度に大量のデータがコピー可能な形式で拡散するという点で一番の弱点にもなり得る。メリット・デメリットの両面からみてベストな対策を考えていくことが重要である。
大切なのは自社にとってベストな対策を考えていくことなので、行政の求めるマイナンバーをしっかり理解し、自社の身の丈にあった対策を選択するようにしましょう。

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