マイナンバー法に違反した場合、罰則が非常に厳しいというのは有名です。マイナンバー法が厳しいと言われるのは、単純に懲役や罰金が科されるというだけでなく併科、両罰、直罰などの規定が盛り込まれているところにも根拠があります。情報漏えいを防止する社風を作るためにはマイナンバー法によって科される罰則についてきちんと周知することも大切です。マイナンバー法の罰則についての理解が怪しいという方はチェックしておきましょう。
マイナンバーを漏洩させれば待っているのは厳しい罰則!
マイナンバーでは、制度・システムの両面からさまざまな安全管理対策を講じます。加えて、マイナンバーの取扱いに関する監視監督は、第三者委員会である特定個人情報保護委員会が行います。故意にマイナンバー付きの個人情報ファイルを提供した場合などには厳しい罰則も適用されます。(2015年9月回答)
マイナンバー法に違反した場合の主要な罰則!
1. 正当な理由なく特定個人情報ファイルを提供した場合
4年以下の懲役か200万円以下の罰金又はこれらの併科2. 不正利益目的で個人番号を提供・盗用・漏えいした場合
3年以下の懲役か150万円以下の罰金又はこれらの併科3. 人をあざむく、暴行、施設への侵入など不正行為で個人番号を取得した場合
3年以下の懲役又は150万円以下の罰金4. 偽りなどの不正手段により個人番号カードを取得した場合
6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金この他、国や地方公共団体,会社,個人事業主など個人番号を取り扱う機関が情報漏えいした場合や,特定個人情報保護委員会の検査拒否、虚偽申告などの場合にも罰則があります。マイナンバーについての罰則は、個人情報保護法など他の関係法律の罰則よりも厳しいものとなっています。
併科とは?両方の罰則が科されるという意味!
併科(へいか)とは、「懲役・罰金の両方」など、2つ以上の刑罰を同時に課すことを指す。
マイナンバー法には両罰規定もあり!両罰とは?
法人などの事業主体の代表者や従業者などが、業務に関して違反行為をした場合に、直接の違反者を罰するほか、その事業主体をも罰することを認めている規定。
この刑事罰については、不正行為を行った従業員に対してのものになりますが、雇用している企業に対しても罰金刑が科せられる両罰規定も存在しています。
それぐらい重い刑事罰で対処するという意思の表れだと考えられます。企業には懲役刑があるわけではありませんが、両罰規定によって重い罰金刑が科される可能性は十分考えられます。
1 両罰規定の対象となるもの
例えば、個人番号関係事務実施者たる民間事業者が、組織的に、その保有する特 定個人情報ファイルや個人番号を反社会的勢力に売り渡すことなどが考えられる ため、特定個人情報ファイル又は個人番号の漏えい等(第 67 条、第 68 条)につい て両罰規定の対象とされている。
また、例えば、個人番号や個人番号カードを組織的に不正取得している集団が、 法人の形態でこれらの行為を行うことも考えられるため、詐欺行為等による個人番 号の取得(第 70 条)及び個人番号カードの不正取得(第 75 条)について両罰規定 の対象とされている。
命令違反(第 73 条)及び検査忌避等(第 74 条)も、法人等の業務に関して行う ことが考えられることから、両罰規定の対象とされている。なお、命令又は検査等 の対象が法人等であった場合には、当該法人等は各本条により処罰され、行為者た る個人が両罰規定により処罰されることとなる。2 両罰規定の対象としないもの
情報提供ネットワークシステムに関する秘密漏えい(第 69 条)、文書等の収集 (第 71 条)、委員等による秘密漏えい(第 72 条)については、法人としての国の 機関を処罰するということが観念できないことなどから、これらについては両罰規 定の対象とはされていない。
さらには直罰規定まで!これが最も恐ろしい!
懲役の期間や罰金の金額の大きさ(4年とか200万円とか)が注目されているようですが、特に注意したい規定は直罰です。よくありがちな制度では、違法行為があった場合、行政指導や行政命令が出され、それにも従わなかった場合にはじめて罰則を与えるというものです。しかし、このマイナンバー制度では、そういう過程を経ることが無く即時に適用できる「直罰」制度になっています。
2005年に施行された「個人情報保護法」では、まず主務大臣が是正勧告を行い、それに従わなかった場合に罰則を科す「間接罰」の形になっています。つまり、直罰規定はありませんでした。しかし、今回のいわゆるマイナンバー法では、直罰が織り込まれています。このマイナンバー制度の成立に至る過程では、「直罰は厳しすぎる」「対象となる取り扱い者には民間の事業者もあるので間接罰がふさわしいのでは」といった議論があったと報道されています。マイナンバーは非常に機密レベルが高く、ひとたび漏えいしてしまった場合、間接罰では罰則を科すまでに時間がかかり過ぎてしまい、情報漏えいの流れをくい止めることが難しくなる、といった理由もあり直罰となったようです。