マイナンバー制度現場の課題は?都内の税理士から見た中小企業の対応状況!

中小企業はマイナンバー制度の対応に追われていますが、未だ充分に制度が浸透しているとは言いがたいです。マイナンバー制度は税制に関する非常に重要な制度ですが、税理士の観点から企業の現場はどのように映っているのでしょうか。

民間事業社でもマイナンバーを取り扱う必要があります

✅ 民間事業者はマイナンバー法で定められた事務のうち、 税と社会保険の手続でマイナンバーを使います
✅ 手続としては、従業員やその家族のマイナンバーの取得と 書類への記載、関係機関への提出が必要です
✅ 個人事業主であっても、従業員(パート・アルバイトを 含む)を雇用していれば、マイナンバーの取得・保管が 必要になります
✅ 税の手続では謝金の源泉徴収票などの調書の提出のため、 従業員以外の外部の方のマイナンバーも取り扱う場合が あります

都内税理士から見た対応状況!未だ多くの現場でマイナンバー制度への実感が湧いていない!?

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肝心のマイナンバー通知カードが、多くの人にまだ届いていないという人がいる状況です(編集部注:インタビューは、2015年11月17日に実施)。多くの企業では「まだ実感を持っていない」という印象です。年末調整など、マイナンバーを扱う仕事が発生すると実感が湧いて、「急いで対応しなくては」と思うことになるのでしょう。
マイナンバーは取り扱いに関して厳重な注意が必要なものです。にもかかわらず税理士から見るとまだ企業側に実感が湧いていないとのこと。

本格的に対応が始まるのは制度が開始されてから?

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中小企業、中堅企業では毎日の仕事に追われていることが多く、まだマイナンバーまで気が回っていないところも少なくはありません。今後、私たち税理士などから、「マイナンバーの対策をそろそろ進めませんか」と提案することになるでしょう。

マイナンバーに対応している企業は1割にも満たない?

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あと2カ月でマイナンバーの利用が開始されるわけだが、中小企業では実際、どの程度対応が進んでいるのだろうか? ほはば 代表税理士の前田興二氏は次のように説明した。

「マイナンバー制度へ対応できている企業は、1割もいないのではないだろうか。まだ、マイナンバー制度がどういった内容で、いつ番号の通知があり、1月に申請することでマイナンバーカードが取得できるという流れを経営者に周知してもらう段階だ」

前田氏によると、マイナンバー制度への対応に関する積極性は、企業によって偏りがあるという。

「派遣企業やIT企業など、従業員規模が一定数以上で若い世代の環境では、システム導入のニーズがあるが、鉄工所のおじさんなどは恐らくシステムを操作することが難しいだろう。ペーパーによる管理が主流となってくるはずだ。また、中小企業では売上を伸ばすことと資金繰りが優先事項のため、システムやアプリを導入するために費用を捻出することが難しいのが実情」(前田氏)

また、マイナンバー制度に対するマイナスイメージを持っている人も多いという。ほとんど利用されることのなかった住民基本台帳ネットワークの件もあり、今回も利用されない制度になるのではと懸念を持たれていることからも、マイナンバー制度への対応が優先度を低くさせている一因でもあると、前田氏は分析している。

対応が進むのは問題が起こってから!?ベネッセのような事態も!?

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何かマイナンバー関係で世間を賑わすような大きな問題が起こったら、いままで逡巡していた企業も本気を出して準備を進めるでしょう。たとえば、通信教育業界で起こった大規模な個人情報漏洩事件が起こった際は、いろいろな企業が「自社では対策は進んでいるのか」と対応を検討し始めました。マルウェアによるオンラインバンクの不正送金問題が起こったときもそうでした。
 教育事業大手ベネッセホールディングスは1日、「進研ゼミ」など国内の通信教育講座の会員数が4月時点で前年同月より94万人減って271万人になったと発表した。昨年7月に発覚した個人情報の大量流出の影響が出た。

 併せて発表した2015年3月期の純損益は、107億円の赤字(14年3月期は199億円の黒字)だった。通期の純損失は1995年の上場以来初めて。会員の減少に加えて、情報流出への対策などで306億円の特別損失を計上したことも響いた。会員に金券を贈るなどのおわびに200億円、情報セキュリティーの強化に60億円を費やした。

いつの世も本格的に話が進むのは問題が起こった後ですね。

外国でのマイナンバーに関する問題

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不法でアメリカに入国している人がナンバーを盗み働き先を探している
死んだ家族になりすますことで年金を不正受給している
マイナンバーが売買されている
「韓国ではクレジットカードのカード番号も住民登録番号で一元管理されているのですが、昨年1月、クレジットカード会社3社や銀行口座関連の個人情報約1億400万件が流出し、預金の無事を確認しようと顧客が銀行に殺到する騒ぎとなりました。流出した個人情報の中には朴槿恵(パク・クネ)大統領と推定されるものも含まれていたんです」(白石氏)
日本でも同様の事件が起こるかもしれません。担当者の方は自分の会社で問題が起こらないよう早めの対策をしておきましょう。

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