マイナンバー導入で就業規則をどうするか?

いよいよマイナンバー制度がはじまりましたが、就業規則を変更するかどうかで悩んでいる経営者の方も多いと思います。今回はその点について調べてみました。

そもそも就業規則とは?

マインバー制度の導入によって、会社の就業規則を変更するかどうかを考えるには、もう一度、基本を理解しておいたほうがいいでしょう。ここでは就業規則に書いておいたほうがいいことを中心に説明してあります。また、就業規則の作成例もあるので参考までにご覧になってみてください。
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就業規則には、ざっくりと、3つのことが書かれています。

1)絶対に書かなければいけないと法律で決められていること
2)指定された制度を定めた場合は、書かなければいけないと法律で決められていること
3)書いてもいいと法律で決められていること。

1)の「絶対に書かなければいけない」と法律で決められていることは次の3つです。

1.始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、就業時転換に関する事項。
2.賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項。
3.退職に関する事項(解雇事由を含む)。

就業規則の作成例
※以下の作成例に載っている規程例や解説を参考に、各事業場の実情に応じた就業規則を作成・届出してください。
【全体版】 → 就業規則の作成例(全体・PDF版) 就業規則の作成例(全体・Word版)
【分割版】 → はじめに及び目次 Word版

就業規則は必ず変更しなければならないのか?

特定個人情報保護委員会によれば、マイナンバー制を導入するにあたって、必ずしも会社の就業規則を変更する必要はないそうです。しかしながら、就業規則に何も書いていなければ、書類を提示するときなどに少々面倒くさいことになります。それならいっそのこと就業規則を変更してしまったほうがいいのかもしれません。ここでは就業規則変更などの例も掲載されているので、興味があれば参考にしてみてください。
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番号法では、事業者がマイナンバーを取り扱う際には、その利用目的をできる限り特定しなければならないとされています。

また、企業がマイナンバーを取り扱うことが出来るのは利用目的を特定した範囲のみであり、当初の利用目的と異なる利用目的でマイナンバーを利用する場合には、本人への通知が必要とされています。この「本人への通知」とは、

・社内LANにおける通知
・利用目的を記載した書類の提示
・就業規則への明記

といった方法であると、特定個人情報保護委員会のページには記載されています。つまり必ずしも就業規則を変更する必要はないですが、就業規則で明示しておいた方がベターだといえるでしょう。

社員の労働条件に関係してくる部分では、就業規則の変更が必要になります。必要な箇所はさほど多くはありませんが、以下の点を中心にご検討ください。

◆採用時の提出書類に「個人番号カードの提示」を追加すること
◆従業員はマイナンバーの身元確認のため、「身分証明書を提示するなど、会社に協力をしなければならない」こと
◆「個人番号の利用目的」を「源泉徴収票の作成、健康保険および厚生年金保険手続、雇用保険手続」「その他法令により定められた業務」などに限定列挙すること
◆「個人情報保護」の条文にマイナンバーについての規定も追加すること
◆懲戒の事由に「故意または重過失によるマイナンバーの漏洩・流出」を追加すること
◆その他の事項については別途「個人情報保護規程を定める」旨の委任規定を設けること

マイナンバー制度に対応した就業規則がないと・・・

マイナンバー法は全ての事業者が対象となります。個人情報の管理がルーズになると、漏洩事故が起きる可能性もあります。このようなリスクを回避するためには安全管理措置が必要になりますが、マイナンバー法に適応した就業規定の整備も必要になります。従業員の意識改革はとても大変ですよね。
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社内規程の整備が遅れ、個人番号の取扱いに関する従業員の理解が不十分なままだと、例えば従業員の個人番号を従業員の人事考課表に記載してしまう、営業等の際に顧客から他の情報と一緒に個人番号を聞いて記録を残してしまうなど、
違法である事の認識のないままに、個人番号を違法に取り扱ってしまうことが常態化する恐れがあります。