マイナンバー担当者が知っておくべき、マイナンバー取扱上のポイント

企業でマイナンバーと最も深く関わるのは、言うまでもなくマイナンバー担当者です。この担当者がマイナンバーを取り扱う際、知っておくべきポイントをいくつか紹介します

1.目的外利用の禁止

便利なマイナンバーですが、法律や条令によって定められた目的にしか利用できないことになっています。
利用範囲は社会保障・税・災害対策

制度スタートと同時にマイナンバーが適用されるのは、社会保障と税制と災害対策という3つの分野に関する手続きのみです。いかなる事情があっても、これ以外の目的でマイナンバーを使うことは認められていません。

たとえば、従業員の管理や顧客管理などにマイナンバーを利用したくなることもあるかもしれませんが、これは禁止です。

利用目的をあらかじめ通知する義務

業務上他人のマイナンバーを取得する場合には、先にしっかりと利用目的を伝えておかなければいけません。たとえ認められている分野での利用だったとしても、通知した内容と違う目的への転用は禁止です。あとから別の用途にも利用する必要が出たときは、その都度あらためて利用目的を追加した旨を通知しましょう。

本人の同意の有無は無関係

これらのルールは、本人の同意の有無とは一切関係なく適用されます。同意があったとしても、目的外での利用は絶対にNGです。これには、立場上逆らえないような相手からの同意の強要を防ぐという意味もあります。

たとえ本人の同意があっても目的外での利用がダメなことは、あまり知られていないと思います。

担当者は注意が必要です。

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2. 提供の求めの制限

マイナンバーの提供の求めの制限/特定個人情報の提供や収集の制限

法律で限定的に明記された場合を除き、提供の求め、提供、収集をしてはなりません。

社会保障及び税に関する手続書類の作成事務を処理するために必要がある場合に限って、従業員等に個人番号の提供を求めることができます。
目的外での利用がダメであるということが、提供の制限につながっているのだと言えます。
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3. 本人確認の措置

番号法第16条では個人番号の提供を受けるときは、本人確認の措置を講じることが必要とされています。

 本人確認の具体的な内容については、番号法施行規則で示されており、手続の対象者本人から個人番号の提供を受ける場合は、「番号確認(提示された個人番号は間違いなく本人のものか)」「身元(実存)確認(番号を提示している人は間違いなく本人か)」という2つの確認作業が求められています。

具体的には、本人が個人番号カードを所持している場合には、個人番号カードのみで「番号確認」「身元(実存)確認」の両方を実施できることになっています。また、本人が通知カードを所持している場合には、通知カードで「番号確認」を行うとともに、「身元(実存)確認」のために運転免許証等の書類を提示してもらう必要があります。
税制上の扶養家族については、従業員本人が「個人番号関係事務実施者」として、扶養家族の本人確認を実施するため、民間企業で扶養家族の本人確認を行う必要はありません。
民間企業と従業員本人とは雇用関係にあり、通常は入社時等のタイミングで身元確認を実施済みと考えられることから、「身元(実存)確認」を不要とすることが可能です。なお、厳密には、個人番号利用事務実施者(具体的には、国税庁、健保組合等)が身元確認せずとも本人であることが明らかだと認めることが必要です。
個人番号カードのみで「番号確認」「身元(実存)確認」の両方ができるところは、このカードの強みです。
これから最も信用度の高いカードとなることでしょう。
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4. 情報の安全管理

安全管理措置

事業者は、マイナンバー及び特定個人情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の適切な管理のために、必要かつ適切な安全管理措置を講じなければなりません。また、従業者に対する必要かつ適切な監督も必要です。【安全管理措置】
社会保障及び税に関する手続書類の作成事務の全部又は一部の委託をする者は、委託先において、法律に基づき委託者自らが果たすべき安全管理措置と同等の措置が講じられるよう必要かつ適切な監督を行わなければなりません。【委託先の監督】
社会保障及び税に関する手続書類の作成事務の全部又は一部の委託を受けた者は、委託者の許諾を得た場合に限り、再委託をすることができます。【再委託】

委託先や再委託先まで監督を徹底しなければ、真の安全管理とは言えません。

委託先とどのように安全管理を行っていくか、綿密な打ち合わせも必要です。

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