マイナンバーの不安≪2≫国に監視されるのでは!?

始まったばかりのマイナンバー制度に対し、個人情報が一元化され、国から監視されるのではないかという不安があります。ここでは、情報提供ネットワークシステムの仕組み等について解説します。

個人情報が一元管理され、国に監視されるのでは!?

マイナンバー制の開始により、個人情報が国によって一元管理されるのではないか、という恐怖心を持っている人も少なくないかもしれません。

ですが、これは誤解なのです。

マイナンバー制では、従来どおり税の情報は国税庁、社会保障の情報は社会保険庁というように、各機関が分散して情報を保有します。

それともう一点誤解されやすいのが、今回マイナンバー制度が始まるにあたって、個人情報が特定の期間のサーバーに集約されて一元管理されるというイメージを持たれている方もいるかもしれませんが、それも誤りです。

従来通り行政や各関係機関が管理している個人情報はそのままそれぞれの機関に分散して管理を行い、必要に応じて2017年以降「情報提供ネットワークシステム」を利用して情報の照会を行う、ということなのです。
(内閣官房社会保障改革担当室で番号制度推進管理補佐官を務める楠正憲氏)

当初の計画よりも適用範囲が拡大するマイナンバー。中高年の金融資産監視の強化も|みんなの介護ニュース (39394)

情報提供ネットワークシステムの仕組み

各機関の情報は、情報提供ネットワークシステムを介してやり取りされます。
情報提供ネットワークシステム(じょうほうていきょうネットワークシステム)は、日本において、個人番号(マイナンバー)と関連付けられた個人情報を関係機関の間でやり取りするためのコンピューターネットワークによる情報システムである。

マイナンバー法の規定に基づいて、総務大臣が設置・管理する。

稼働開始は2017年(平成29年)以降の予定である。

Q2-4 情報連携の基盤となる情報提供ネットワークシステムや中間サーバーに関して、具体的な仕様を早期に示してください。

A2-4 中間サーバーについてはソフトウェアの設計・開発事業者が決定し、総務省にて検討を開始しており、自治体に対して成果物を公開しております。また、情報提供ネットワークシステム等についても設計・開発事業者が決定し、内閣官房にて検討を開始しており、こちらも自治体に対して成果物を公開しております。今後も随時情報共有をさせていただきます。
なお、内閣官房が実施した社会保障・税に関わる番号制度が情報システムへ与える影響に関する調査研究報告書は、地方公共団体へ公表済みで、都道府県を通じてダウンロード案内をご連絡させていただいています。また、地方公共団体における番号制度の導入ガイドライン(総務省平成25年8月)も住基ネット全国説明会で配布した冊子に加えて、ダウンロード案内もお知らせしています。(2014年6月回答)

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情報提供ネットワークシステムでは中間サーバーを仲介するため、原本となる情報には他機関がアクセスすることはできません。

よって各機関は必要な情報だけしか引き出すことができない仕組みになっています。

情報提供ネットワークシステムは、総務省において運用される一方で、総務省が個人情報の一元管理機関とならないよう、個人情報を保有しないこととされています
情報連携は、個人番号とは異なる「符号」を使って行われることになります。

それは最高裁が住基ネット合憲判決を出した理由として《本人確認情報の提供が認められている行政事務において取り扱われる個人情報を一元的に管理することができる機関または主体は存在しない》としているからです。

つまり、直接個人番号を使って情報連携を行えば、一元的な管理とみなされるという懸念から、個人番号を使わずに、別な方法として考えたのが符号なわけです。

独立性の高い個人情報保護委員会

「個人情報保護委員会」は、マイナンバーの不正使用などを監督・監視するために、設立され、どの省庁からも独立しています。
(「特定個人情報保護委員会」を2016年1月4日に改組)
特定個人情報保護委員会は、マイナンバー制度(行政手続番号法)の個人番号などの適正な取り扱いを確保するために必要な措置を担う内閣府外局の第三者機関。内閣府設置法に基づく委員会で、公正取引委員会や国家公安委員会と並んで独立性が高い。

特定個人情報(マイナンバーを含む個人情報)の取り扱いに関する監視・監督(立入調査、報告要求、指導、助言、勧告、命令などの権限の行使)や、情報保護評価(指針の策定や評価書の承認)、特定個人情報の保護についての広報・啓発のほか、これらの事務のために必要となる調査・研究、国際協力などを行う。

また、委員会は特定個人情報を取り扱う関係者に対し、必要な報告もしくは資料の提出を求めたり、委員会の職員に直接事務所等に立ち入らせ、質問や帳簿書類その他の物件を検査することができます。

(中略)

何らかの違反行為が疑われると、いきなり委員会が踏み込んでくるという企業にとっては大変な混乱を招く事態が引き起こされます。

さらに恐ろしいのは、特定個人情報保護委員会はマイナンバーについて何も対策を行っていない(適切な取扱い体制を整えていないことを含む)民間企業の代表者を警察へ告発する権限を有しているということです。

(中略)

したがって、恐らく施行後、刑罰を課される社長さんが続出し、「こんなはずじゃなかった・・・」という事態が続出すると思われます。

官公需適格組合【戦略経営ネットワーク協同組合】マイナンバー対策1日講座のご案内 北海道、札幌、セミナー、研修 (39668)

マイナポータルで情報閲覧

マイナポータルとは、国民がマイナンバーを使ってインターネットで自分の個人情報を参照できるシステムで、平成29年1月から導入される予定です。

不正利用と思われる記録について、個人情報保護委員会に訴えることができます。

マイナポータルを使うと、以下のようなことができるようになると言われています。

● マイナンバーの付いた個人情報を、行政機関がいつどことやりとりしたかを確認できる

● 行政機関が保有する個人に関する情報を確認できる

● 行政機関から個人に対してのお知らせ情報などを受け取ることができる

● 各種社会保険料の支払金額や、確定申告等を行う際に、参考となる情報を入手できる

Q6-1 マイナポータルってなんですか?

A6-1 行政機関がマイナンバー(個人番号)の付いた自分の情報をいつ、どことやりとりしたのか確認できるほか、行政機関が保有する自分に関する情報や行政機関から自分に対しての必要なお知らせ情報等を自宅のパソコン等から確認できるものとして整備します。

例えば、各種社会保険料の支払金額や確定申告等を行う際に参考となる情報の入手等が行えるようになる予定です。

また、引越しなどの際の官民横断的な手続のワンストップ化や納税などの決済をキャッシュレスで電子的に行うサービスも検討しています。

なお、なりすましの防止等、情報セキュリティに十分に配慮する必要があることから、マイナポータルを利用する際は、個人番号カードに格納された電子情報とパスワードを組み合わせて確認する公的個人認証を採用し、本人確認を行うための情報としてマイナンバーを用いない仕組みを考えています。(2015年4月回答)

二重のチェック機能で安心

以上のように、個人情報保護委員会とマイナポータルという二重のチェック機能で、国民が逆に省庁を監視できるようになるとされています。

現在よりもむしろ安心なシステムであるといえるでしょう。