マイナンバーカードは中小企業にも恩恵をもたらす?今後の展開次第か!?

マイナンバー制度は税と社会保障の公平な社会を実現する制度であるため、行政と国民にとって便利になるものの民間企業にとっては負担ばかり強いられる制度です。しかしマイナンバーカードの公的個人認証サービスは民間での活用が期待されており、中小企業でも恩恵を受けられる可能性があります。

現状、マイナンバーは行政が利用するためのもの!

マイナンバーは国民が効率のいい行政サービスを受けるための制度です!

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マイナンバーは、住民票を有する全ての方に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるものです。
  マイナンバーは、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を実現する社会基盤であり、期待される効果としては、大きく3つあげられます。

  1つめは、所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止するとともに、本当に困っている方にきめ細かな支援を行えるようになります。(公平・公正な社会の実現)

  2つめは、添付書類の削減など、行政手続が簡素化され、国民の負担が軽減されます。また、行政機関が持っている自分の情報を確認したり、行政機関から様々なサービスのお知らせを受け取ったりできるようになります。(国民の利便性の向上)

  3つめは、行政機関や地方公共団体などで、様々な情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減されます。複数の業務の間での連携が進み、作業の重複などの無駄が削減されるようになります。(行政の効率化)

民間事業者は税と社会保障の手続き以外にマイナンバーを利用してはいけません!

Q4-1-3 マイナンバー(個人番号)を使って、従業員や顧客の情報を管理することはできますか?
A4-1-3 マイナンバーは、法律や条例で定められた社会保障、税、災害対策の手続き以外で利用することはできません。これらの手続きに必要な場合を除き、民間事業者が従業員や顧客などにマイナンバーの提供を求めたり、マイナンバーを含む個人情報を収集し、保管したりすることもできません。
 法律や条例で定められた手続き以外の事務でも、個人番号カードを身分証明書として顧客の本人確認を行うことができますが、その場合は、個人番号カードの裏面に記載されたマイナンバーを書き写したり、コピーを取ったりすることはできません。(2014年6月回答)
現状マイナンバー自体は行政の効率化と国民の利便性を高めるためにのみ利用され、民間事業者において顧客管理や従業員管理など企業の利益のために活用することはできません。

ではマイナンバーカードは?民間利用できる余地あり!

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マイナンバー制度導入後は、就職、転職、出産育児、病気、年金受給、災害等、多くの場面で個人番号の提示が必要となります。
 その際、通知カードであれば、運転免許証や旅券等他の本人確認書類が必要となりますが、個人番号カードがあれば、一枚で番号確認と本人確認が可能となります。

他にも、個人番号カードを取得すると、

本人確認の際の公的な身分証明書として利用できる。
市区町村や国等が提供する様々なサービス毎に必要だった複数のカードが個人番号カードと一体化できるようになる。
平成29年1月から開始されるマイナポータルへのログインをはじめ、各種の行政手続のオンライン申請に利用できるようになる。
オンラインバンキングをはじめ、各種の民間のオンライン取引に利用できるようになる。
コンビニなどで住民票、印鑑登録証明書などの公的な証明書を取得できるようになる。
といった、多くの様々なメリットを享受することができるようになる見込みです。

マイナンバー制度の利用範囲は、当初、社会保障と税、災害対策の3分野への適用に限定されているが、今後民間利用が拡大される。まず、準公的な領域である医療分野や、税との近接領域にある金融分野から利用が始まるだろう。

個人番号カードには電子証明書が格納され、この証明書を使った公的個人認証サービスは民間企業にも開放される。これまで保険証や免許証を提示して行っていた本人確認も、個人番号カードを提示すれば済み、またネット上で電子証明書を使うこともできる。ネットショッピングをはじめ、さまざまな利用シーンが考えられるし、民間企業にとってビジネスチャンスがあるだろう。公的個人認証をビジネスで活用する場合、総務大臣の認定が必要であり、早ければ3月中にも認定の基準が公表されると聞いている。

電子証明書は民間での活用もすぐに期待できる!電子証明書とは?

電子証明書は、インターネットや電子の世界で「なりすまし」「改ざん」「事後否認」「盗聴」といったリスクを防ぎ、認証局と呼ばれる組織が持ち主の身元情報を認証し発行します。
例えば実社会における運転免許証は、本人確認が可能な都道府県が発行する公文書です。
一方、認証局の審査を受けて発行された電子証明書は、電子の世界で持ち主の情報を証明することができます。電子証明書は電子署名や通信の暗号化などいろいろな場面で利用されています。

民間事業者にとって公的個人認証サービス(電子証明書による本人確認)のメリットは?

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顧客登録がスムーズに!

民間事業者の公的個人認証サービス利用のメリットの第1として、「正確・迅速・安 価な顧客登録(アカウント開設)が可能に」なる点が挙げられる。
従来の方法は(図 3-2 上段)、申込者の実在性、氏名・住所等の確認のため、運転免許 証等のコピーを郵送してもらう必要があり、例えば、銀行の場合、利用申込から開始ま で数週間が必要であり、コストも1回の手続につき 500~1,000 円程度発生する。
この点、民間事業者が公的個人認証サービスを利用し、署名用電子証明書・電子署名 を受け、利用申込を受ける場合には、申込者の実在性、氏名・住所等を確実に確認でき るので、別途、郵送等による本人確認書類の提出を求める必要はない※2。申込者は申込 後、直ちに利用が可能であり、コストも大幅に削減できる(図 3-2 下段)。なりすまし 等による被害がないという安心感もあり、申込拡大も期待できると考えられる。
※2 銀行等の口座開設や携帯電話の販売など、法令により本人確認が義務づけられている様々なも のがあるが、概ね電子署名がその方法の一つとして位置づけられる見込みである。

顧客の異動について定期的にチェックできる!

民間事業者の公的個人認証サービス利用のメリットの第2として、『顧客情報の 「異動の有無」の把握が可能に』なる点が挙げられる。
従来の方法は(図 3-3 左欄)、例えば、ユーザー登録の一年経過時などに、全てのユー ザーに郵便で現況確認を行い、これにより現況確認ができない場合には実地調査を行い、 異動の有無を把握し、登録情報を更新するというものであり、現況確認のための郵便料 金等や実地調査のための人件費など、相当のコストを要する。
この点、民間事業者が公的個人認証サービスを利用し、顧客の同意を得て、一定期間
ごとに電子証明書の失効の有無を確認すれば、顧客情報の異動の有無をある程度の理由
も含め把握することができ(図 3-4)、これまで生じていたコストカットが可能である※ 3。
※3 なお、異動後の住所・氏名等の把握は、顧客情報変更届を更新後の署名用電子証明書・電子署 名とともに送信してもらう方法や、個人番号カードの入力補助アプリケーションに記録された 情報を送信してもらう方法により、正確・迅速な取得が可能である。
他にも顧客になりすました不正なログインを防ぐことができたり、顧客へのカード発行が必要なくなるなどのメリットが考えられます。

電子証明書機能、金融機関や保険会社ではすぐに利用が進む!?

この電子証明書機能の民間開放については総務大臣の認可が必要なことや、事業者側のシステム構築にも時間がかかることから、すぐに「各種民間のオンライン取引/口座開設」にマイナンバーカードが利用できるようになるわけではありませんが、民間事業者は電子証明書機能を利用することでオンラインでも確実な本人確認を行うことができ、さらに異動情報なども確認できますので、金融機関や保険会社など本人確認に手間とコストがかかっているような事業者を中心に利用が進んでいくことが想定されています(電子証明書機能の民間開放については総務省「公的個人認証サービスによる電子証明証(民間事業者向け)」を参照ください)。
電子証明書機能は顧客の異動情報をすみやかに知りたいあらゆる業界で求められている機能です。マイナンバーによる効率的な運用が期待されます。

中小企業での利用は?大手ITベンダー次第でありうる?

電子証明書機能が民間開放されたといっても、中小企業が電子証明書機能を活用するために自らシステムを構築することは難しいことだと思われます。ただし、今後大手ITベンダーなどが電子証明書機能を共同利用できるようなプラットフォームを構築し、電子証明書機能を利用したい中小企業などへ提供していく流れも考えられます。そうすると、自らの事業展開のなかで、マイナンバーカードを利用することで、なんらかのメリットを生み出すことが中小企業にとっても身近なこととして考えられるようになってくるのではないでしょうか。
現状、マイナンバーカードの電子証明書機能を利用するためにはシステム構築に莫大な費用がかかるため中小企業における利活用は難しいと思われます。しかし大手ITベンダーによって電子証明書機能を安価に利用できるシステムが整えられれば中小企業でも恩恵を受けられるかもしれません。

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