中小企業のためのマイナンバー対応策 Part1

中小企業が従業員のマイナンバーを取扱うことで、それにより発生する問題点の内、初期の段階でやるべきことが数多くあります。その対応策をPart1としてまとめました。

企業がマイナンバーを集めるときにやるべきことは

すべての企業(従業員を雇用している)が対象となる事案であり、企業(事業者が)対応しなければならないものです。
以下にマイナンバーの取り扱いの準備段階、マイナンバーの収集、マイナンバーの利用と保管、マイナンバーの廃棄の順にて取り上げてまいります。

マイナンバーの取り扱いの準備

マイナンバー取り扱いの準備

マイナンバー取り扱いの準備

マイナンバーを取り扱う準備として、マイナンバーの取扱に関する規程づくりと、従業員の研修が必要。
マイナンバー取り扱いの準備

マイナンバー取り扱いの準備

・マイナンバーの規程づくり
・従業員の研修
事業者がマイナンバーを取り扱うにあたって、まず取扱いを明確化する必要があります。 マイナンバーを取り扱う担当者の指定や、社内ルールを決定しましょう。 そして、それを従業員にも理解してもらうために、研修などを行いましょう。 マイナンバーの取扱ルールに基づき、マイナンバーを利用する目的や、取り扱う上での注意事項などを説明することが重要です。

マイナンバーの収集

マイナンバーの収集

マイナンバーの収集

マイナンバーを集めるときには、その目的を説明する必要があります。マイナンバーを受け取る際には、「本人確認」も忘れずに。
マイナンバーの収集

マイナンバーの収集

目的を説明してからマイナンバーの収集を。
本人確認も忘れずに。
マイナンバーを集めることができるのは、行政手続のために事業者が行う源泉徴収票作成事務など、法律で認められている場合に限られています。 そのためマイナンバーを集めるときには、事前にその利用目的を伝える必要があります。 また、個人からマイナンバーを受け取るときには、事業者は本人であることを確認しなければなりません。 番号が正しいことと、提供されたマイナンバーの正しい持ち主であることを確認しましょう。

本人確認の処置

本人確認の処置

本人確認の処置

会社は、税や社会保障関係の事務を行うために、本人等からマイナンバーの提供を受けることになりますが、その際に、会社は必ず本人確認をしなければなりません。いわゆる「成りすまし」を防ぐためにも厳格な本人確認が求められます。
本人確認のための確認資料の例

本人確認のための確認資料の例

番号確認と身元確認のための確認書類については、番号法施行規則等により定められています。顔写真入りの「個人番号カード」であれば、個人番号カード1枚で番号確認と身元確認の両方を確認できます。紙製の「通知カード」や「マイナンバー付きの住民票」により番号確認する場合は、「運転免許証」や「パスポート」等による身元確認でワンセットの本人確認となります。
国民年金第3号被保険者関係届について

国民年金第3号被保険者関係届について

会社への提出義務者は扶養親族であることから、会社が扶養親族の本人確認をする必要があります。しかしながら、会社が扶養親族に直接本人確認するのは大変ですので、実務上は、扶養親族の代理人として従業員がマイナンバーを会社に提出する方法があります。この方法の場合、会社は「代理権確認」「代理人の身元確認」「本人の番号確認」の3つの確認が必要になります。

企業がマイナンバーを集める対象は?

個人番号を集める対象は、「社会保障」と「税」の書類に記載する必要がある方々です。
①従業員と配偶者、扶養親族
②個人の取引先(不動産のオーナーやライター、カメラマン、大学講師など)
③株主

従業員と配偶者、扶養親族は源泉徴収票や健康保険などで必要となりますし、取引先は支払調書で、株主は配当を行うタイミングで必要となります。

マイナンバーの利用と保管

マイナンバーの利用と保管

マイナンバーの利用と保管

マイナンバーは集めて終わりではありません。
利用には制限がありますし、
マイナンバーを保管する際の適切な安全管理が重要です。
マイナンバーの利用では、たとえマイナンバーの持ち主から同意を得たとしても、法律に定められた目的以外に利用することは禁じられています(目的外利用の禁止)。
そして事業者は、継続的な雇用や取引の契約があるなど、必要な場合に限って、集めたマイナンバーを保管することができます。 ただし、マイナンバーの保管には、漏えい等を防止するための安全管理が義務づけられています。
個人情報保護委員会が定めたガイドラインに基づく対応が求められています。
なお、アルバイト・パートタイマーを含む従業員が100人以下の事業者は必要とされる措置が軽減されています。
安全管理の措置

安全管理の措置

マイナンバーは非常に重要な個人情報ですので、漏えい・滅失・毀損等の防止、その他の適切な管理のために、必要かつ適切な安全管理措置を講じる義務があります。番号法により、全ての事業者は、マイナンバーについて安全管理措置を講ずることとされています。担当者任せではなく、会社として取り組む必要があります。安全管理措置の検討手順は、左図の流れになります。

6つの安全管理の措置

6つの安全管理措置の実施についての詳細は、下記リンク先を参照

中小企業に認められているマイナンバー安全管理に関する特例措置

国や地方公共団体である行政機関だけでなく、民間事業者も事業規模の大小や取扱い件数を問わず、マイナンバーを適切に管理する義務があります(番号法第12条個人番号利用事務実施者等の責務)。

しかし条件を満たす中小規模事業者(以下中小企業)に該当する場合は特例措置が適用されます。どのような条件を満たした中小企業に、どのような特例が認められているのかを見ていきましょう。

特例措置が適用される条件とは

従業員数が100名以下の中小企業は取扱件数がそれほど大きくないこともあり、原則の措置よりも緩やかな特例措置を施用することができます。
・従業員数が100名以下
・民間事業者である
・マイナンバーに関する業務委託を受けていない
・金融分野の事業者ではない
・個人情報取扱事業者ではない
というような場合に、中小企業における特例措置を活用することができるのです。

マイナンバーの廃棄

マイナンバーの廃棄 マイナンバーの廃棄

マイナンバーの廃棄 マイナンバーの廃棄

不要になったマイナンバーは廃棄しなければなりません。
退職や取引終了など、利用する必要がなくなり、法定保存期間を過ぎたマイナンバーは廃棄しましょう。 電子データの削除(マイナンバーだけを削除し、そのほかのデータは残していても問題ありません)、 書類は復元できないように焼却またはシュレッダーで断裁しましょう。 なお、マイナンバーに関する情報を保存していたパソコンなどを破棄する場合には、 専用のデータ削除ソフトによる削除や、物理的な破壊などを行ってください。
また、誰がいつ何を廃棄したか、廃棄記録を保存しましょう。
すでに2016年1月から実施されているこのマイナンバー制度で、初期の段階で行うべき事柄につきまとめてまいりましたが、従業員のマイナンバーを、取扱う準備から始まり、収集する目的を明確に伝えなければ、収集してはならないとか、収集したものどのように利用し、そのように保管するかということ、保管の方法にも、いろいろと決められているのです。マイナンバー制度は大企業よりも中小企業への人事/給与などの業務に影響が大きいような気がいたします。制度の柱である 行政の効率化、国民の利便性の向上、公平・公正な社会の実現のために、制度化された以上は、いかにその取り扱いが、企業にとって重要なことか、そしてその管理についても同様に事細かく制度化されております。
このまとめを作成するうちにも、個人と違う企業のマイナンバーの取り扱いが重要な業務になってきていることがわかります。このPart1では、書ききれないものがたくさんあり、Part2
Part3と続けてまいります。ご参考になれば、ご活用願います。

あなたにオススメのコンテンツ



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする